河川の上流と下流の街の交流―。先月二十一日から二十二日まで、群馬県高崎市倉渕の四年生児童三十二人が浦安市を訪れ、利根川水系の河川の変化や河川が結ぶ街の違いを学んでいた。
「浦安市民の森」を旧倉渕町時代に設ける協定を結んだ両市。旧倉渕町の三校(市立倉渕東小、同倉渕中央小、同倉渕川浦小)が合同で、総合的な学習の時間の環境学習の一環として来市した。各校は、「水」をテーマにした倉渕の生き物と下流の関わり、「地球にやさしい人になろう」と題したゴミと水の調査、「植物、動物を調べよう」を掲げた地域ごとの生き物の違いなどを学んでいる。
児童たちは、浦安市立郷土博物館で河川の堆積物と埋め立てでできた浦安の土地や自然の恵み豊富な三番瀬などについて学んだ後、釣り船に乗って江戸川から三番瀬に出て釣りを楽しみ、翌日は旧江戸川や葛西臨海公園水族館を見学した。
浦安市の黒田江美子教育長は「浦安を見ることで、自分の街・倉渕を深く考え、もっといい街になるように頑張ってほしい」と児童を出迎え、同博物館の学芸員は「ノリと貝の値段は浦安で決まる―といわれた時期がある浦安は、山から流れ出た栄養がないと人間や海の生き物の暮らしは成り立たなかった。みなさんの倉渕とは無関係なところではない」と、お互いの街の関係性を説いた。河川の堆積物でできた元々の浦安の地が現在の四分の一の広さだと聞いた児童や教師は、感嘆の声を上げていた。
浦安市民も地元の海に出ることはまれな乗船体験で、潮風に当たりながら川から海へと開けていく様子と、鳥や魚などの生き物に目を奪われていた児童は、船上で業務や遊びに興じる人たちが現れるごとに大きく手を振ってはしゃいでいたが、「ゴミばっかじゃん。きったねー。倉渕はもっと澄んでいてきれいだよ。臭ーい」とこぼしていた。ハゼ釣りでは「ロープだっていいから釣りたいもん」と流れるロープに釣り針をかけようとするほどの“オケラ”で、この日釣れたのはビニール袋とアマモの二つだけだった。
テーマパークではない浦安を訪れた児童は、「自然がぜんぜんない。ビルばっかりで木がない。サッカーもするけど、浦安じゃムシ採りや木の実拾いはできないね」と、自分たちが普段している遊びができないことを感じ取っていた。
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