自衛官の自殺者数
「いじめ」が原因として遺族が訴えるケースも目立っている。海自の護衛艦の乗員だった3等海曹(当時21歳)が99年11月、艦内で自殺した件をめぐり遺族が起こした訴訟では、8月25日に福岡高裁が「構造的ないじめとは認められないが、上官の言動は指導の域を超える違法行為」として、国に350万円の賠償を命じた。横浜地裁や静岡地裁浜松支部で遺族が訴えた訴訟も係争中だ。
部下への過度な指導による「私的制裁」や、隊員への「傷害、暴行脅迫」で懲戒処分された自衛官は294人(04〜06年度)。上司との人間関係に悩む隊員が数多くいることがうかがえる。
防衛庁(当時)は03年に自殺事故防止対策本部を立ち上げ、カウンセラーや専門家の電話相談や面談、上官の指導マニュアルの配布など対策を続けているが、決定的な対策は打ち出せていない。担当者は「自殺は複合的な理由が絡み、対策は一朝一夕でできない。ある程度時間をかけて取り組むしかない」と話す。