「逆走エスカレーター」10月5日に運転再開へ
名古屋市営地下鉄・久屋大通駅
名古屋市交通局は26日の土木交通委員会で、逆走事故を起こした市営地下鉄久屋大通駅(同市中区)上りエスカレーターの運転を、10月5日から再開する方針を明らかにした。事故原因が特定されたとして安全策を徹底させた上での運転再開となる見通し。
交通局のこれまでの調査によると、事故は機械室内にある駆動装置を載せた架台の固定ボルトが折れたことで起きた。
昨年9月、6本の固定ボルトのうち2本が疲労破断。折れたボルトは応急処置として補強金具を四つ溶接、その後ボルトを直径16ミリから20ミリに交換する予定だったが、5月9日に固定ボルト3本が疲労破断した。
その結果、踏み段を動かす駆動チェーンの力で補強金具がすべて外れた。さらに架台が設置場所からずれたことで駆動チェーンが歯車から外れ、踏み板に動力を伝えられなくなり、利用客の重量で逆走したという。
交通局は「事故の原因となった事実を確認した。対策を取ることで安全を確保できる」とし、10月4日夜までに、固定ボルトを20ミリに変更、さらに架台のずれを防ぐボルト2本を取り付ける。また事故で破損した部品を取り換えて駆動装置もオーバーホールした上で運転を再開する予定。
事故による負傷者14人のうち、12人は示談が成立し、残り2人は示談交渉に向けた事務手続き中という。
委員からは固定ボルトの折損を事前検知できなかったとして毎月の保守点検を受託する交通局の関連団体「交通エンジニアリング」(名古屋市)の責任を追及する声も上がったが、交通局は「保守内容が事故につながったとは考えていない」と答えた。
事故原因について愛知県警は捜査を継続しており、市の調査結果を参考に事件性の有無を最終的に判断するとみられる。
【写真説明】現在停止中の事故エスカレーター=26日午前、久屋大通駅
(2008年9月26日更新)
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