日本はここで、自らの持つ技術や資金を提供するのはもとよりのこと、何よりも、信頼の仲介者となるのです。そして信頼こそが、中東にあっては最も希少な資源であること、言をまちません。
我が政府は今、核兵器の全面的廃絶に向けた決議案を提出しようとしています。日本がこれに込める思いの丈を、疑う人とていないでしょう。同じ意味において、IAEAの活動に日本が重きを置くことに、多くの説明は無用であろうと存じます。かつて同機関理事会議長を務めたことのある天野之弥(あまの・ゆきや)ウィーン代表部大使を、わたくしは、IAEA次期事務局長候補として立たせるものです。皆様の、ご支持を願ってやみません。
議長、先にわたくしは、日本における7月7日の意味について触れました。G8のため洞爺湖に集まった、首脳と配偶者たちは、笹の葉に、こもごも願いを書き付けたのであります。言葉こそ様々であれ、平和を願わなかった人はおりません。
けれども以来わずかの月日を経るうちに、各所で平和の乱れる事態が相次ぎました。私はまずグルジア情勢に関し、ロシアを含む当事者の責任ある対応によって、領土保全の原則にもとづきながら、問題が、平和的な解決を見ることを強く期待するものであります。
7月7日――。英国で、これは忌まわしい記憶を呼び覚ます日付でありましょう。ここに集う我々にしても、イスラマバードを5日前に襲ったテロリズムの非道に対し、憤怒を新たにしたはずであります。アフガニスタンの情勢にも、改善の道筋はなかなか見えようとしません。テロリズムが世界の平和と繁栄に対する最大の脅威であることに、いささかの変わりもないのであります。