『ヒロシマもう一つの顔−地方議会の生態−−ある市会議員の報告−』
山口氏康・著/青弓社1986年
日本のどこかでは、このような問題をとりあげる議員もなく、好き勝手している地方もあることでしょうね……。
利権のことなどが書かれてありました。
原爆に関わることが書かれてありました。下「」引用。
「部隊は山口県小郡へ行き、元気者の私は軽機関銃手にされた。−略−八月九日、中隊長の当番についたとき、ナガサキにら特殊爆弾が落とされたというラジオを聞いた。「山口、特殊爆弾とはなんだ」と中隊長に尋ねられたが、見当もつかなかった。
八月八日、彼女からの手紙を受け取った。日付は八月五日、爆風よけの人形が入っていた。六日に広島が特殊爆弾で全滅したらしいといううわさを、そのころ聞いた。私は彼女が生きていると信じ、願い、祈り続けて、何回となく彼女の手紙を読み返した。−略−」
戦後、共産党入党。下「」引用。
「数日して、沖野輝夫氏(のちに県委員長)がわが家へきた。見れば顔に傷がある。「党の事務所へ行くな」と言うから、「どうしたのか」と尋ねると、「事務所でやられた」と答える。「そんなばかなことがあるか。私が行って文句を入ってる」と息まいたら「党中央は分裂し、たいへんなことになっている。中国地方全体が中央に反対している」と話す。これで党事務所の空気がおよそわかった。」
平和を願っている一人だが……。下「」引用。
「私も原水禁爆禁止、世界平和を願っている一人である。私なりに運動に加わったときもある。しかし、私はいわゆる『平和屋』と呼ばれる人たちのように、偏狭なイデオロギーを振りかざしたり、自己陶酔におぼれた行動はできない。むしろ、私には現在の平和運動の姿がいびつに見えて仕方がないのである。」
『ヒロシマもう一つの顔 続篇 議員活動二十年の報告』
山口氏康・著/青弓社1997年
−−「2 広島市現代美術館汚職」
そして議会で追求。下「」引用。
「価格の公表はできない」
税金で買ったのにもかかわらず……。
池田満寿夫の作品が多かったという。下「」引用。
「私は「池田の物ばかりなぜ買うのか」といったが、セットで買わされ、しかもセリ値と比較して高い買い物をしているのである。
靉光の作品をとっても、県の購入価格と比較してじつに高い。」
「アトム・ピース」という作品が問題になったという。
ピースは平和ではなく、一片という意味だという。下「」引用。
「私は一九九一年(平成三年)三月議会の本会議で、シカゴ大学に設置されている作品は、原爆製造の顕彰碑である、現代美術館のフロアに常設されている『アトム・ピース』と同一のもので、これはヒロシマにふさわしくないので取り払うよう要求した。これに対し、鍋岡聖剛教育長は、「
ムーアは平和主義者で、そういう作品ではない」と答弁した。重ねて、この年二月に誕生した平岡敬・新市長に「マスコミ出身者としてどう思うか」「原爆に関わった科学者たちについての本『十二名の科学者」を読んだか」と質したら、「検討する」という答弁で終わった。
その後、教育委員会の担当責任者といろいろ協議し、作品をボイコットするということではなく、常設場から別の場所に移すという妥協案で解決することにした。今後この作品をどのように扱うかは、美術館職員の問題意識にゆだねることになった。」
このことはTBSの番組で取りあげられたという。下「」引用。
「そんななか、八月六日の夜放送のTBSの「筑紫哲也ニュース23」での特集、「アトム・ピース“核”彫刻論争」では、被団協(広島県原爆被爆者団体協議会)の伊藤サカエ氏が、「芸術的な立場は別として、良心的に被爆者として許せない」と発言した。そのあとでロンドンのムーア財団事務局長が登場したり、彫刻家でもない
池田満寿夫が登場し、「シカゴにはそういうつもり(顕彰碑)で置いてあるかもしれないが、それが広島にもってこられれば意味が全然違ってくる」「ムーアの思想や作風から考えて解釈をすべきであり、見識者の意味を深く考える必要がある。山口議員がもっと勉強すべきだ」というような発言で、私の主張に反論していた。
最後に、ニュースキャスターの
筑紫哲也氏がしめくくりの言葉として次のように述べた。「『アトム・ピース」の価格、五千四百万円はムーアの作品としてはものすごく安い。何億かの価値があるのだから、そんなにママコ扱いするのならばほかに売って好きな物を買えばいい。欲しいところはいっぱいあるだろうから」
問題の焦点は、歴史的事実を認めるかどうかにあるのである。そこが議論されないで、「政治家が芸術に口を出すな」という主張で、議論を恐れ、安い買い物という低級なしめくくりに私は驚かされた。」
セレブの筑紫さんに買ってもらったらよかったですね。
池田満寿夫氏に対して。下「」引用。
「私の批判に対し、ムーアの“平和主義”をもち出し、池田満寿夫氏を使って「原爆反対の作品」と強弁させるのである。だれがこんなストーリーを企画したのか? 購入に関わった者以外に考えられないことである。」
怒りをもって書かれているようだ……。下「」引用。
「この番組の出発点は、「平和主義者ムーアの作品が、広島の市議会議員に批判された」ということから始まる。平和主義者で偉大な作家を批判する議員のイメージは保守反動のわからず屋ということで、直接的には『アトム・ピース』論争だが、被爆地ヒロシマの意識が原爆反対という思想に発展していることが筑紫哲也氏にはわかっていないようであった。」
「6 文化は食いもの」、「3 自然破壊で大儲け」……。
−−日本全国で展開されていることだろうと思う……。
まだ、問題にするだけ、広島市はいい方ではないか?
−−そんなふうにボクは思う。
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