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こころとからだの相談室:子どものゼロゼロがなかなか治りません

 ◇ 質問

 9か月の女児です。気管にたんが絡んでゼロゼロしているのがなかなか治りません。生後3か月のときに肺炎の一歩手前くらいのひどい風邪を引かせてしまい、それが原因ではないかと思っています。また、卵アレルギーがあり、皮膚も少し乾燥ぎみなので、喘息の気もあるのではないかと思っています。

 一時期、皮膚の治療でかゆみ止めとして抗ヒスタミン剤を飲んでいましたが、喉の症状に変化はあまりありませんでした。今は薬は飲んでいません。症状がひどくなったときに小児科で薬をもらったことは何度かあります。せき、鼻水、鼻づまりはある時とない時があり、夜はたまにせきをしますが、ぐっすり寝ています。保育園ではせきで眠れないことがあるようです。ただ、これらの症状は、風邪が原因なのかどうか判断できません。

 気管のゼロゼロは成長につれて治るものなのでしょうか。何か気をつけたほうがいいことなどあったら教えてください。

 ◇ 回答

 1歳未満の子どもが、風邪を引いてからゼロゼロが続くようになることは、決してめずらしいことではありません。特に保育園などで集団生活をしている子どもに多いようです。

 ゼロゼロするということは、気管や気管支の中に痰などの分泌物がたまっていることを意味します。痰は気道の炎症(気管支炎など)によって作られます。したがって、気管支炎になったためにできた痰が、いつまでも気管や気管支の中にとどまっていると、ゼロゼロという症状になります。

 ではどうして痰がとどまっているのでしょう。それは小さな子どもだからです。大人であれば、痰が絡んだときに力強く咳き込んで痰を気管の外へ出すことができますが、小さな子どもは自ら進んで咳をしないため、痰をなかなか出せないというわけです。

 子どもがゼロゼロしやすい理由はほかにもあります。子どもの気管や気管支の内腔はもともと大人より狭く、そこに炎症が起これば内腔はさらに狭くなるため、ゼロゼロしやすくなります。また、小さな子どもは気道感染にかかりやすいため、たびたび気管支炎になることもあります。感染の機会を与えやすいという意味では、集団生活は危険因子と言えます。さらに、子どもが喘息の要素を持っていたり、ミルクや食事の飲み込み方が下手でもゼロゼロしやすくなります。その他、気管や気管支に先天的な異常がある場合もあります。

 以上のような理由から、小さな子どもはゼロゼロしやすく、しかも長引きやすいと言われています。しかし、幸いなことに多くの子どもは成長とともにゼロゼロしにくくなります。それは前述したような理由がそれぞれ改善していくからです。すなわち、成長とともに気道の内腔は確実に広くなります。力強く咳き込めるようになってきます。感染の頻度も徐々に減ってきます。食事の仕方も上手になってきます。ですから、その時期が来るまで、ゼロゼロとうまく付き合うことが大切です。

 咳は痰を出すため必要な生体の防御反応です。ゼロゼロしている子どもが咳き込んで吐いてしまうことがありますが、吐いた後にゼロゼロがなくなっていることはしばしば経験されます。ですから、吐くことを恐れずに咳をさせることが大切です。そのためには、例えば空腹時に頭部を低くして胸部を軽くトントン叩いて咳を誘発させる方法などが役立ちます。また、水分摂取を欠かさないことも重要です。

回答者:川崎一輝(国立成育医療センター呼吸器科医長)

2008年9月26日

 

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