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【主張】汚染米捜査 行政責任の解明も必要だ

2008.9.26 03:10
このニュースのトピックス主張

 基準値を超える農薬やカビに汚染された事故米を不正転売していた大阪の米粉加工販売会社「三笠フーズ」に強制捜査のメスが入った。

 汚染米は判明しただけでも26都府県の390社・施設に流通し、一部はお菓子や給食に使われて老人や子供の口にも入っていた。食の安全を根底から揺るがす事件であり、捜査当局には再発防止の観点からも不正転売の全容を徹底して解明するよう求めたい。

 大阪、福岡、熊本の3府県警合同捜査本部のこれまでの調べで、同社は当初から食用としての転売を目的に汚染米を大量購入し続けていた疑いが強まっている。事実であれば明らかな詐欺行為というほかない。不正にかかわった経営幹部の刑事責任は厳しく問われねばならない。

 三笠フーズは事故米を子会社に売却後に買い戻し、食用として再転売していたことも明らかになっている。1キロ当たり平均9円で仕入れた事故米が、最終的に14倍の125円で売られていた例もあった。あくどい利ざや稼ぎにはあきれるばかりだが、流通ルートを複雑にして汚染米の出所を隠す狙いもあったようだ。食品業者として信じがたい悪質さである。

 重大な責任を負っているのは行政も同じだ。農林水産省は平成15年度から現在までに約7400トンの事故米を非食用として売却しているが、三笠フーズはこのうち4分の1に当たる1780トンを落札している最大の大口購入者だ。事後の転売には、より厳しい目を光らせるのが当然だった。

 にもかかわらず監視体制は極めて杜撰(ずさん)で、事故米が工業用のりなど適正に使われているかをチェックする立ち入り検査は、過去96回も実施されながらすべて事前予告のもとで行われていた。内容も書類確認程度で済まされ、内部告発を受けるまで不正にはまったく気付かぬお粗末さだった。

 不正発覚後の対応も常に後手に回って国民の怒りを増幅した。大臣と事務次官の両トップ辞任は当然ともいえるが、これで責任を果たしたことにはなるまい。

 新たに就任した石破茂農水相は、省内に対策本部を設置した。遅きに失した印象はぬぐえないが、不正転売ルートの全容解明もまだこれからだ。

 「農水省全体の意識改革が必要」と言い切った石破氏の決意を省内に徹底させてほしい。

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