医療事故:「報告ゼロ」2割 厚労省が徹底求め通知

 医療法に基づき大学病院や国立病院機構の病院などに義務付けられている医療事故報告について、制度が始まった04年10月から昨年3月までの2年半で、1件の報告もなかった病院が約2割に上ることが、財団法人日本医療機能評価機構のまとめで分かった。厚生労働省は病院側が届け出を怠っている可能性もあるとして、1日付で各病院に報告の徹底を求める通知を出した。

 報告義務があるのは全国273病院。医療行為や管理のミスで患者が死亡・負傷したり、その疑いがあるケースなどが対象で、予期しない合併症や入院患者の転倒なども含まれる。2年半の届け出件数は、1~10件が134病院、11~20件が53病院で、200件以上も2病院あった。一方で、約2割の53施設は報告がなかった。

 事故報告は同機構が病院名などを伏せて統計処理し、多発しているケースを紹介し再発防止に役立てる。報告義務違反に罰則はない。

 厚労省医療安全推進室は「安全管理が完ぺきな病院がないとは言えないが、報告すべき事例が1件もないとは考えにくい」と指摘する。厚労省が導入を検討している死因究明の第三者機関「医療安全調査委員会」は、この事故報告と同様の届け出方法を想定しているため、「医療機関が正しく報告してくれないと、新制度の信頼も揺らぐ」と懸念している。【清水健二】

毎日新聞 2008年9月3日 15時00分(最終更新 9月3日 15時00分)

文字サイズ変更
この記事を印刷
印刷

ニュースセレクト アーカイブ一覧

 

特集企画

おすすめ情報