麻生太郎氏
自民党総裁選で優位に立つ麻生太郎幹事長は14日、来年度から3年間は消費税率を据え置く方針を示した。「日本経済は全治3年」と唱えており、その間は景気対策に重点を置くことを明確にする狙いがある。基礎的財政収支(プライマリーバランス)を11年度に黒字化するという政府の財政再建目標は事実上、先送りされる方向だ。
総裁選5候補や民主党の小沢代表は、当面の消費増税にそろって否定的で、10年以降の対応が焦点となっている。麻生氏が3年間据え置きを打ち出したことで、引き上げの時期が総選挙の大きな争点になる可能性がある。
麻生氏は14日のNHK番組で、橋本内閣が97年に消費税率を5%に引き上げたことに触れ、「トータル9兆円の増収をめざしたが、景気は冷えてマイナス4兆円。あれから学習しないのは愚かだ」と指摘。消費税率の3年間据え置きを政権公約とすることについて「基本的にはそうなる」と答えた。
一方で、麻生氏は別のテレビ番組で「日本の落ち着く先は中福祉、中負担みたいになるんじゃないか。10%台はひとつの目安かなと思う」と語り、将来的には消費税率は10%程度が望ましいとの考えを示した。麻生氏はこれまで、09年度中に基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げる財源に消費税をあてることは否定し、特別会計余剰金の活用などを提案している。