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東京湾に原発が現れた…空母配備、不安ぬぐえぬ横須賀

2008年9月25日15時6分

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 地元横須賀は、十分に不安をぬぐえないまま米原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)を迎えることになった。米側が「原子力艦は一度も人体や環境に影響を及ぼす放射能を出したことはない」と安全を強調する一方で、軍事機密の原子炉構造だけでなく、トラブルなどの情報についても開示に消極的なことが背景にある。

 市民らは06年と今年に署名活動をし、配備の是非を問う住民投票を求める条例案が市議会に2度提出された。いずれも否決されたが、今春には有権者の約14%にあたる約4万9千人分が集まっている。

 国は基地周辺で放射線を測るモニタリングポストを4基から10基に増設。市も原子力災害に備え、甲状腺被曝(ひばく)を低減させる安定ヨウ素剤約30万錠を市内全域に備蓄するが、測定範囲が狭いなど、対策は十分と言い難い。

 市は昨年3月、米海軍と防災協定を結び、国を交えて原子力防災訓練を始めた。だが米側は「最悪でも防護措置が必要な範囲は基地内にとどまる」と主張。訓練は基地内に限られた。市は今年10月、基地外で独自の訓練をするという奇妙な現象も起きている。

 米原子力艦をめぐっては、原子力潜水艦ヒューストンが、横須賀、佐世保(長崎県)、ホワイトビーチ(沖縄県)の日本寄港中も含む2年間にわたり微量の放射能を漏らしていたことが8月に発覚したが、漏れた経緯や原因は明らかにされていない。GWの配備は東京湾に原発が出現するのと変わらない。住民の視点に沿った情報開示や防災対策が欠かせない。

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