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信なくば景気対策役立たず

2008年9月25日

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 景気は、原油価格高騰をきっかけに、坂を転げ落ちるように悪化してきている。物価上昇と不況が同時進行するスタグフレーションである。しかも米国のサブプライム問題から世界恐慌になりかねないと懸念されている。

 こうした状況から思い出されるのは1973年の石油危機時の様相である。生活物価の上昇、原材料の売り惜しみなど混乱しながら、翌年後半にはゼロ成長がはっきりしてきた。74年度末には全国中小企業決起大会が日本商工会議所主催で開催され、仕事よこせ運動が行われた。

 今回も漁業者の一斉休業、トラック業界、タクシー業界の値上げ要求など広範囲な中小企業関連団体が支援策の要請を掲げている。いつか来た道のように思えるが、今回の状況は、当時と比べようのない歴史的な大転機ではないかと考えられる。

 その第1は不信社会の問題である。いまや政治不信、行政不信、教育不信、企業不振と社会は不信感に満ちあふれている。同時に老後、医療などの不安時代でもある。第2は少子高齢化社会で、活力に乏しいことである。社会経済にかつてのような上昇志向の勢いが感じられない。第3はグローバル競争に伴い、物価上昇に見合う賃上げは期待できない。

 景気は気で動く。国民に気力がないと景気も回復しない。このため、戦後の再建・自立の後、高度成長を目指したように、新たに地方分権国家を目標とすると共に、生活にかかる高コスト、とくに公共料金、住居費などの改善を徹底すべきではなかろうか。また、新エネルギー開発、食料自給率の向上対策に資源を集中することが緊要である。今回の景気対策はこうした中長期対策を組み入れて進めることが大切だ。(共生)

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