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【主張】麻生新内閣 危機を打開し信を得よ 

2008.9.25 03:10
このニュースのトピックス主張

 ■総選挙には政策競い合いで

 麻生内閣が発足し、次期総選挙で民主党と雌雄を決する陣立てが整った。日本をよくするための政策の競い合いを求めたい。

 麻生太郎首相が問われているのは国家的危機の打開策である。

 前2代の首相が政権を投げ出したねじれ国会に象徴される政治の機能不全や、少子高齢化に伴う負担と給付問題などは手が付けられていない状況に陥っている。

 安全保障で死活的に重要な北朝鮮情勢が不透明さを増す中、その備えは多くの問題を抱える。

 これら難問への具体的な処方箋(せん)提示こそ、首相の責務だ。国のあり方を積極的に語っていた首相の持ち味を生かしていくべきだ。

 ≪心配な財政規律の緩み≫

 近々、小沢一郎民主党代表との間で首相の座を争う。説得力ある難局への打開策が、国民の信を得ることにつながる。

 内閣の顔触れは、「適材適所」としているが、首相の盟友とされる中川昭一氏を財務相兼金融担当相に起用するなど、首相の指導力を際だたせることに腐心したといえる。首相が自ら閣僚名簿を発表した。新たな試みはさらに続けてほしい。

 早急に取り組まねばならない課題の一つは、食の安全・安心をどう確保するかだ。事故米不正転売問題をめぐり、先に農水相と事務次官が辞任した。農水省は立ち入り調査を96回繰り返しながら、不正転売を見抜けなかった。

 農水政務次官の経験がある石破茂農水相は、「お役所仕事」にメスを入れ、行政を立て直さなくてはならない。

 この問題では縦割りの弊害も露呈している。機能不全の行政システムの見直しも喫緊の課題だ。

 経済財政政策での当面の課題は緊急経済対策とそれを実行するための補正予算、さらに来年度予算編成だ。焦点は、緊急経済対策に盛り込まれた定額減税だろう。

 ただでさえ景気対策の必要性に疑問がある中で、定額減税は極めてばらまき色が強い。その財政措置は第2次補正に回る予定だが、減税規模をめぐり新内閣でも認識が一致していない。

 再任された改革の司令塔役である与謝野馨経済財政相は、総裁選中から昨年度剰余金などの範囲内とする小規模論者だ。景気重視の首相が大規模減税を目指せば、赤字国債に頼らざるを得まい。

 来年度予算や税制改革でも財政規律のゆるみが心配だ。すでに首相は消費税引き上げは景気回復後とし、2011年度の基礎的財政収支黒字化目標を先送りする意向を示している。

 さらに後期高齢者医療制度を含めて社会保障の歳出削減工程まで見直すという。これでは小泉政権以来の構造改革が頓挫する。一時的な選挙対策で将来の日本を危うくするのでは、民主党のばらまき政策を批判できないどころか、政権の責任を問われよう。

 ≪対北朝鮮に総力結集を≫

 懸念されるのは北朝鮮対応だ。金正日総書記の重病説に伴い、北朝鮮が核施設の復旧に着手するなど、より強硬策に出る兆候が見え始めている。

 こうした事態への日本の備えは不十分だ。情報収集だけでなく、戦略作りも怠ってきた。日本の総力を結集する態勢を構築しなければならない。福田前政権が断念した国家安全保障会議(日本版NSC)創設が必要である。

 拉致事件についても首相は「日本の主権が明らかに侵害された」と語ってきた。北朝鮮は約束した再調査委員会の設置を先送りしたが、拉致被害者を日本に帰国させることしか方策はないと、首相自らがこれまで以上に強い姿勢を表明すべきだろう。

 日本にとっては日米同盟関係をこれまで以上に揺るぎないものにしなくてはならない。米国が困っているとき、手をさし伸べない同盟国であってはなるまい。

 インド洋での海上自衛隊による給油支援は、アフガニスタンでのテロとの戦いに欠かせない。延長を要請しているのは米国だけではない。国連安保理も22日、給油支援を受けている多国籍海軍への感謝を決議した。

 首相は新テロ特別措置法改正案成立を「責務」と述べた。総選挙となっても給油支援の是非を争点とし、決着をつけるべきだ。

 日本を覆っている閉塞(へいそく)状況の打破は、首相の断固たる決断と指導力にかかっている。「難題に立ち向かう」覚悟をみたい。

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