未公開ベロベロ日記アネックス

午前中に布団に包まって眠っていたところ



ドンドンドン！



と、扉を叩く音がした・・・


この日記でもこの書き出しで何本か書いているのだが


事前連絡の無い訪問者は
我が家では基本的に出ないようにしている

押し売りだったり、宗教だったり、宅配便を装った暴漢だったり
店の忘れ物を取りに来た青年だったりするからだ。

以前、料理中に扉を叩かれたので不覚にも出てしまったところ


いきなり


物凄く大量の洗剤やら
ジップロックやら
化学雑巾やら
ビールケースやらをプレゼントされた


世の中には親切な人もいるもんだな・・・
なんて思いながら喜んで受け取ると


「この度●●新聞の営業所に来た●●と申します！」


と自己紹介された


「お！●●新聞には▲▲くんという知り合いがいるから宜しく言っといて！」

オレの人脈の広さをアピールしつつ扉を閉めようとすると

「あっ！コレ！コレ！」

まだ何か他にプレゼントしてくれるのかと思っていたら
一枚の新聞購読契約書を渡された

「オレ新聞読まんし、読みたくなったら▲▲くんに言うから。じゃ！」

再び扉を閉めようとすると

急に険しい顔になり
オレがＧＥＴしたプレゼントは全て没収されてしまった・・・


このように都会というのはイロイロな欲望が渦巻いているのだ。


いきなり話がそれた。

午前中である。



扉を叩く音が止み、再び眠りに就くと



ザ・フーのギタリスト、ピート・タウンゼントに
ジャスコ店内で肩車される夢を観た。

ザ・フーが大好きなオレは
「さすがロックンローラーはやることが奇抜だな」
と喜んで意気揚々と肩車されたまま店内を巡回し

出入口の鴨居でわざと頭を打ってみせ
一同大爆笑したトコで目が覚めた。



目が覚めて夕食の買い出しに出かけようと扉を開けると
一枚の紙切れが玄関に落ちているのに気が付いた

手にとって見るとそれは宅配便の不在表

午前中の訪問者は宅配業者だったのだろう



「オレに・・・宅配便？」



思えば、この日は２月１５日（木）・・・





男達が悲しく生まれ変わる日








すなわち











バレンタインデイの逆イブである！










今年も年賀状とチョコは実家の母親から無事にＧＥＴしていたオレは

余裕をかましながらも



期待に股間を膨らませ



送り主を確認する・・・



木曜日は店の定休日

このオレの休日を事前に調査し

大量のチョコに埋もれるであろう
オレのバレンタインはあえて避け
「休日にチョコでも食べながら私のコト思い出してＮＥ！」的な
粋な計らいが出来るワルイ送り主は・・・














焼酎会社であった。












「あっ！」











「や、や、やった〜〜〜！」






年末に焼酎を購入して
キャンペーン中に応募券を一枚送れば


抽選で各３００名様に


Ａコース：博多辛子明太子（約４８０ｇ）

Ｂコース：紀州梅（約８００ｇ）

Ｃコース：米沢産牛（約４００ｇ）

Ｄコース：魚沼産コシヒカリ（約５ｋｇ）

Ｅコース：たらばがに脚肉とだき身（約６００ｇ）


が当たるというもの

どれもこれもテレビでしかお目に掛かれないようなグルメ景品！

その焼酎を集中的に購入し
何年か振りに切手をわざわざ購入して
各コース毎に計５通も送り付けていたのだ！


すっかり送っていたのも忘れていたが



この瞬間、思い出した！




「当たったんじゃ〜〜〜！」




そしてこの瞬間、大殺界なんて吹き飛んだ！




「明太子かの？カニかの？・・・米沢牛かの！グフフフ」



５コースのうち食べたいもの３コースを予測する。


米と梅はあまり興味はない。


応募総数もこの２コースは少なく
当たる確率も高いような気がしたので
保険気分で「仕方なく」応募していたのだ。



そんな予想をしながら

オレは少し困っていた



それは



我が家には冷蔵庫が無いということ・・・



正確にいうと冷蔵庫はあるのだが電源を入れていない・・・

理由は自分でもよく分からないのだが
何か冷蔵庫の電源を入れたら負けのような気がするのだ。

そのため電気代が１０００円/月にもならないのも自慢だ

ヘンなトコでセコいオレのこだわり。


しかしこの非常事態ではそうもいかないであろう



タラバガニや明太子や米沢牛という黒船が来航すれば
保存のため冷蔵庫を開国させねばなるまい


もちろん米や梅であれば冷やす必要が無いため
鎖国は続ける。


１８５３年当時


第12代将軍徳川家慶、老中首座阿部正弘の苦悩はいかばかりであったろうか。






「えぇ〜い！泣こよか　ひっ飛べ！」






早速、宅配便の営業所に連絡を入れる・・・


住所氏名と伝票番号を伝えると

今から配達してくれるとのこと。


「で、商品の中身は何ですかね？」


冷蔵庫を冷やしておく都合上そう尋ねると


「あ、ココでは分かりませんねぇ・・・」


冷たく電話は切られた






・・・






数十分ほど正座にて沙汰を待つ





・・・





開国か？鎖国か？





・・・






ドン！ドン！ドン！






唐突に扉は叩かれた




「は、は〜〜〜い！」




相当声がうわずっていたと思う



サインをして商品を受け取ると





ズッシリとした重さに思わず頬がゆるむ・・・





「開国か、鎖国か・・・」






商品に貼り付けられた伝票を見るが中身は書いていない



箱の横に書いてある。



結論から先に言わせてもらえば




その商品は・・・「鎖国」であった。




カニでも明太子でも牛肉でもなかったのだ





さらに





米でも梅でもなかった！




送られて来た商品は




・・・




「Ｗチャンス賞ご当選」という名の「残念賞」





その商品の中身は






焼酎３種と





たち吉タンブラーと


















花の種であった。