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大迫正治
大迫正治
株式会社ループス・コミュニケーションズ企画部長。Webサービスの企画・マーケティング・アライアンス・R&Dなどに従事している。趣味は旅と読書。

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2008/02/13

仮面舞踏会の様相を呈するmixiは、もはや単なる日記通知アプリに過ぎない

Web2.0
 

Logomixi 最近、mixiの衰退が聞かれることが多い。もっ とも、私の周囲では1年前から聞かれる。2007年後半は、好業績、Microsoftによるfacebookへの出資(同業のfacebookの企業価値を1兆円以上と算定)、GoogleによるOpenSocial構想への賛同表明、海外進出表明、モバイルの堅調な推移といった好材料続きで市場の期待も集まっていたが、その後あれよあれよと株価も100万円まで戻ってしまった。CNETには下方トレンドが鮮明になったと書かれたが、笠原氏は「3000万人が上限」とのこと。3000万人まではいける、とまでは言っていないようだが。

 現状のmixiは単なる日記通知アプリに成り下がってしまった。私にとって意味のあるmixiの機能は、「足あと」と日記通知機能だけだ。つまり、リアルでも知り合いであるマイミクに、ブログの更新を伝えるためのWebサービスでしかない。死ぬほど目的が限られたRSSリーダーのようなものだ。そこで、mixiはなぜ私にとってこんなに陳腐なものになってしまったのか、考えてみた。

1.仮面舞踏会化

 mixiでは当初から実名ユーザーが少なかったが、mixiが絡んだ一連の事件もあって、もともと砂上の楼閣でしかなかった「信頼のコミュニティ」はいとも簡単に「猜疑心のコミュニティ」と化した。化した、というより、その本来の姿を現した、と言ったほうが近い。もともと日本人にオンライン・コミュニケーションにおける信頼を求めることは困難だった。

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 そして、友達の友達は友達、というノリは、実名性が前提だ。mixiでは、もはや誰が誰だかわからない。現実に知り合いでないユーザーの信用を確かめる術は何もない。なので、ネットワークが偶発的に広がる可能性が少ない。自分の周りの友人を一通り誘い終わったら、紹介によるユーザー増加が停滞するのは必然である。多くの人は、入学や就職と言った転機を迎えない限り、リアル世界で爆発的に知り合いを増やすことはないのだ。

2.ピントのずれた機能群

 mixiには一見機能が豊富だが、どれもまるで図ったかのように、使う気をゲンナリとそいでくれる。レビューはどうだろう?アフィリエイト収入を独り占めせず、ユーザーにも分配すればもっと活性化するだろうね。動画?写真?友人がアップしたものより、知らない人がアップしたものが見たい。ユーザーは既にYouTubeという広大な面白い世界を体験しているのだ。マイミクとの連携に固執しすぎだろうね。カスタムスタートページ?少しくらいAjaxJavascriptを使ってください。新着日記モジュールを最小化するためだけに、画面全体の更新なんぞ要らないよね。こういう仕様はページビュー泥棒(=広告料の吊り上げ)と呼ばれてもしょうがないだろう。

Mixi1

 なんというか、せこい。なんというか、Web2.0的トレンドを追おうとして、微妙にピントがずれている。結果、どの機能もページビュー増加に寄与せず、当初からある足あとページの広告単価が一番高い、ということになるのだ。これは、ユーザーの「認知欲求(他人に見られたい、存在を認められたいという欲求)」こそが、mixiを利用する上での最大の動機だということの証明にほかならないわけで、mixiはこの事実をもっと直視すべきだ。例えばfacebookのように、マイミクの更新情報をマシンガンのように通知すれば、もっと活性化するだろう。誰が誰と新しく知り合った、とか。誰がどのコミュニティに入った、とか。誰がどんなことをプロフィールに追記した、とか。そういう更新情報こそが、中毒性を生むのである。

3.コミュニティの進化停止

 日記と双璧をなすmixiの機能は「コミュニティ」だが、これも進化を停止している。具体的には、まず第一に、所詮テキストのやりとりなので、飽きる。第二に、書いているユーザーの正体が知れない。ゆえに、mixiのコミュニティ機能の本質は、「交流のための機能」ではなく、「プロフィールを表現する機能」に変わってしまったのである。

 時系列に沿った単なるテキストの羅列というのは、5年前、10年前でも実現できるもので、テクノロジー的に革新性がゼロである。ユーザーは興味のあることを本格的に知りたくなったら、他のサイトに行くことになる。音楽なら音楽サイト、料理ならレシピサイトやグルメサイト、有名人なら彼らのブログを訪問するわけだ。つまり、正体のわかるユーザーだからこそ、単なるテキストにも信頼という「付加価値」があったのであり、匿名性に覆われてしまえば、コミュニティに漂うテキストは、極めて軽薄なのである。

 以上のように、「信頼」がなく、それゆえ「共通の趣味による交流」も喚起されなくなるため、他のユーザーのページを訪問する動機を持つのはスパム業者だけ、ということになってしまうのである。そのうち業績にも影響が出るだろう。

 というわけで、個人的には、もっといろいろなサイトの面白い点を取り込んでほしい。現状のmixiは面白くないが、別に「終った」とも思わない。ただ、創り上げたものを根底から見直すことは、大変そうだ。

Masaharu

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コメント

おおた
2008/02/13 10:34

 私自身は「仮面舞踏会上等。Nifty-Serveはそもそもそうだったし、シェアの上ではそれを継承した2ちゃんねるは、仮面すらかぶらず闇夜で石を投げ合ってるじゃないか」とか色々感想が浮かんではきたのですが、一点だけ。
>友人がアップしたものより、知らない人がアップしたものが見たい
 これは、正確には『面白いものが見たい』もしくは『他人が勧めるハズレのないものが見たい』が正しいでしょう。最近の書籍界において「ベストセラーがさらにベストセラー化する現象」などがその傾向を示していると思います。
 「知らない人」が作ったから見るんじゃないです。作ったのが友人だろうが他人だろうが(まあ確率的には友人が作ったものが当たる確率はかなり低いですが)「面白いと言われている」から見るんでしょう…と、テクノロジー的に革新性がゼロのテキストで反論させていただきました。
 とはいえ、私個人としてはmixiは「敷居の低さ」よりも「ある意味匿名性のなさ」で勝負してほしかったな、と思うことはあります。ビジネスを考えたときにはそういうわけにはいかなかったのもわかるのですが。

2008/02/13 21:07

>おおたさん
コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、面白い動画が見たいですね。
とは言え、一つのWebサービスにあれもこれも求めるのも難しいと思いますので、自分にとってmixiはやはり日記の相互通知サービス以上の何物でもないですね。

2008/02/14 13:01

こんにちは。

>現状のmixiは単なる日記通知アプリと成り下がってしまった。

同感ですね。最初はmixiで日記を書いていましたが、今はブログをホストしているだけです。

mixiはゆるさを感じます。
コミュ二ティ内での議論も、全く意味がないと感じます。それぞれが言いたいことを言っているだけです。結局収束しないまま、だらだらっと終わっていきます。

中には本気で議論したい人もいるはずです。そういう人にはブログを開設してほしいなと思います。オープンでみんなで共有したほうが、有益だと思います。

yahoo知恵袋のようなサービスも、ゆるい質問が多いです。それはそれでいいですが、自分としてはもっと"アツさ"がほしいです。

2008/02/14 21:29

>Kotaさん
コメントありがとうございます。
確かに、「アツさ」が求められる場面はあるでしょうね。が、これはウェブ上のコミュニティに限らない話ですし、いつの時代にもある話だとは思います。

mixiは、メインユーザーがコアなネットユーザーから一般ユーザーに移行するに伴って、「ゆるさ」を帯びることを避けられなかったのだと思います。つまり、その「ゆるさ」は日本の世相の反映でしょうね。

Mr.YST
2008/02/15 02:17

はじめまして!

タイトルの
「もはや単なる日記通知アプリ」は同意ですが、理由のアプローチがどうかなと思いコメントします。

1.
>mixiでは当初から実名ユーザーが少なかったが
これはちょっと違う気がしますね。
むしろ逆で実名が多かったので、後にいろいろな側面からのリスクを啓蒙しています。
http://mixi.jp/help2.pl#1a
mixiに「使用上の注意」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0610/12/news122.html

2.
>動画?写真?友人がアップしたものより、知らない人がアップしたものが見たい。ユーザーは既にYouTubeという広大な面白い世界を体験しているのだ。
コンテンツの善し悪しは受け手側が決めることではないかな、と思います。
友達と一緒に行った旅行の動画はYoutubeには上がってないし、思い出の共有はYoutubeが適切だと思いません。
またそのコンテンツの価値は、思い出を共有した人にとってはどんなテレビ番組よりも価値が高いはず。
Youtubeに上がっているテレビコンテンツと、mixi上でやりとりされる動画コンテンツを比較するのはそもそもの間違いだと思います。

3.
>具体的には、まず第一に、所詮テキストのやりとりなので、
現在は写真や動画、Youtubeの貼り付けが可能で、文字のみだけのコミュニケーションではなくなってきています。
また、情報の共有は、共有する情報によるものだと思っていて、テキストで十分であれば、わざわざ動画を貼る必要はないと思います。
昨今の発表で、モバイルのmixiが好調な理由として、やりとりされる情報はテキストで十分だから、モバイルが上回ったのでは、と思ってます。

いかがでしょうか?

2008/02/16 00:33

>Mr.YSTさん
コメントありがとうございます。
3点について順にコメントします。

>これはちょっと違う気がしますね。
>むしろ逆で実名が多かったので、

「多い」「少ない」という表現は比較対象がないとただの印象論になりますので、私の基準を挙げますと、私が使い始めた2004年~2005年当初の他のSNS(GREEやOrkut)や、2006年当初に一般開放した頃のfacebookとの比較ですね。それらと比較すると、mixiの実名登録者は少なかったと思います。当時私の周囲の実名登録者は、mixiは2~3割、GREEは9割、Orkutは8割、facebookは100%でした。

リスクの啓蒙(免責宣言)については、成長および上場のための要件であり、実名登録者の多寡と関係なく、mixiの利益になりますので、あまり論拠になるようには思えませんでした。

>友達と一緒に行った旅行の動画はYoutubeには上がってない

YouTubeもflickrも当初からコンテンツの公開/限定公開を選択できていたかと思いますので、そもそも「友達と一緒に行った旅行の動画」といった類のコンテンツがどのくらいあるのか、確認不能です。

が、mixiにおける写真や動画の共有機能が限定公開用であることは確かです。ただ、そういったコンテンツは数が少ないですので、私は不特定多数のユーザーがアップしたものがもっと見たいですね。

>現在は写真や動画、Youtubeの貼り付けが可能で、文字のみだけのコミュニケーションではなくなってきています。

そうですね。それは確かですが、現状で言いますと「オマケ」にすぎません。私もアーティストやスポーツ選手のものを含めて数十のコミュニティに入っていますが、コミュニケーションの9割以上はテキストによるものです。逆に言うとflickrやYouTubeでもテキストによるコミュニケーションは可能です。要は「核」となる機能が何かという点を私は説いており、flickrは写真、YouTubeは動画ですが、mixiはテキストである、というのが主旨です。

また、モバイルが好調な理由を一つに絞ることは難しいです。

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