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学校や幼稚園・保育園など,保護者以外でこどもさんとしっかり関わる職業の方々が,「発達障害かも?」と思われるけれど専門機関未受診のこどもさんを担当しているときに感じておられる疑問,「どうして専門機関を訪ねないの?」について先日取り上げました。

その記事にも書きましたが,この場合,親御さんが発達障害の可能性を疑っていらっしゃらないことが結構多いだろうと思っています。
もちろん,なんとなくその可能性に気付きながらまだ受診を躊躇っていらっしゃる,ということもあると思いますが…。


そして。
親御さんの立場からコメントをいただいて改めて気付きましたが,親御さんがせっかく専門機関を訪れてくださったにもかかわらず,医師が診断をしなかったため「未診断」になっている,ということもあったりします。
これはどういうことなのか…ちょっと考えてみたいと思います。
この「受診したけど未診断」という現象は,その「専門」機関がどれくらい専門性の高いところなのか,担当した医師のキャリアがどのくらいなのか,といった要素で変わってくるように思います。そして,地域性によっても…。

まず,一般精神科の,主に成人を診ている精神科医を訪れた場合。
悲しいことですが,一般の精神科医がこどもの精神科臨床技術を学ぶ時間は本当に限られています。むしろゼロに近いかも。「せめて高校生以上なら診られるかもしれないけど,中学生はちょっと無理」くらいの感覚の精神科医が(少なくとも私の周りでは)大半を占めています。これは,真面目にきちんと研鑽を積んできている医師であってもそう。
さらに,一般精神科医が発達障害について十分な知識を身につける機会はほとんどない,というのが現状です。多くの精神科医が学んできた診断方法は現在出ている症状で評価して診断するやりかたであって,発達歴・生育歴をあまり重視しません。
こんな現状なので,こういう医師が1歳くらいの赤ちゃんを目の前にしてできることって本当に少なくて。
「この月齢で来られても…」と言いたくなる一般精神科医の気持ちはものすごくリアルに想像できます。

たしかに,いい加減に評価して「あー,発達障害ですね」「いやいや,発達障害じゃありませんよ」と安易に判断するよりはマシかもしれない。
でも,1歳にも満たない頃から自分のこどもさんの育ち具合に疑問を感じて,いろんな不安を振り切って受診してくださった親御さんに向かって「こんな早く連れてくるなんてどうかしてる」といったニュアンスで対応するのはおかしい,と私は思ってしまいます。

せめて,「申し訳ないけれど,自分にはこの年齢(月齢)のこどもさんの発達障害を判断する能力はない」とお詫びして,地域の専門機関の情報を提供をするとか,それくらいのことはしてほしい。

…ちょっと脱線ですが,患者さんや親御さんにお詫びしたり,「自分には○○はできない」と告げたりすることに抵抗のある医師って結構多いようです。
そりゃ確かにできないことがあるよりは何でもできたほうがいいに決まってるけど,これだけ医療の専門性が細分化された時代に「何でもできる」医師なんてそうそうあり得ないんだし(ま,そう開き直りすぎるのも問題ではありますが),できないことはできない,って認めたほうがいいのに,と思ったり。自分にできないことについては代わりに誰ならできるのかを把握しておいてそのひとへきちんと繋いであげることができれば,まずは最低ラインクリアでしょうか。

長くなってきたので,後日へ続きます。

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なかのひと

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