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南方系チョウ・シダ、関西「進出」 温暖化が原因か

2008年9月23日15時8分

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写真ツマグロヒョウモン=大阪市住之江区、川崎典晃さん提供

ガード下に生えたイヌケホシダ=大阪市内、村上健太郎さん提供

 南方系のチョウやシダが関西地方で勢力を拡大していることが、大阪府立大などの調査でわかった。大阪府南部では、主に熱帯・亜熱帯にすむチョウが新たに3種類見つかった。台湾に多いシダも、30地点以上で確認された。温暖化やヒートアイランド現象で、越冬できるようになったのが原因のようだ。

 大阪府立大の石井実教授らは07〜08年に、大阪府内3カ所でチョウの分布を調べ、88年の調査結果と比較した。すると、大阪府南部では、ナガサキアゲハなど南方系のチョウが8種から11種に増えていた。

 大阪城では、もともとはインドやオーストラリアにもいるツマグロヒョウモンが新たに見つかり、南方系のチョウの生息密度も高まっていた。

 また、11月と12月にも、ヤマトシジミやモンシロチョウが見つかった。88年には、確認できなかった。

 石井さんは「チョウにとって今の大阪は、以前の鹿児島市内と奄美大島の中間地点ぐらいの気候と感じるのではないか」と話している。

 岸和田市立きしわだ自然資料館の村上健太郎学芸員は04〜06年に、JR大阪環状線沿線など関西の79地点で、台湾などに自生するシダの仲間、イヌケホシダの分布を調べた。この結果、大阪南部から滋賀県彦根市にかけて、34地点で自生していた。50年代までは本州で自生の記録はないという。

 村上さんは「日本では温室内で育っていたシダが、ランの鉢植えなどに入り込んで、外に出て、定着したようだ」と話している。

 気象庁によると、大阪の1月の平均気温は、50年に1.4度のペースで上昇している。(長崎緑子)

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