Print this Post Article Lists Back

【社説】健康を軽視する韓国政府のメラミン対策

 中国発のメラミン騒動が全世界に拡大している。台湾とシンガポールでは中国製乳製品を使ったインスタントコーヒーとヨーグルトからメラミンが検出された。香港では中国から輸入したネスレ・ブランドの牛乳からメラミンが見つかり、関連製品の回収措置が取られた。日本の食品会社も中国製乳製品が含まれた菓子の回収に乗りだした。アフリカのガボン、タンザニア、ブルンジなどにも中国製乳製品の輸入を禁止する動きがある。

 メラミンは肥料や合成繊維の原料として使われる工業用化学物質だ。人体に入ると腎臓結石や腎炎を起こすことがある。中国の農家や中間業者は牛乳の量を見掛け上増やすために水を混ぜた後、タンパク質の含有量を高めて不合格判定を避けるために工業用のメラミンを加えていたという。中国ではメラミンを含む粉ミルクを飲んだ乳幼児4人が死亡し、病院で治療を受けた患者数が5万3000人に達した。香港でもメラミン入り粉ミルクで乳幼児二人が腎臓結石を起こした。

 メラミン入り粉ミルク騒動を起こした中国の三鹿集団には昨年12月から、粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石を起こしたという情報が寄せられたという。しかし、同社は乳幼児が入院する事態に発展するまで調査を行わなかった。中国当局も北京五輪に支障が出ることを恐れ、口を閉ざしていたが、9月9日になって事実を公表した。華麗な五輪開会式とは好対照を成す中国の一面だ。

 韓国の養殖業者では、今年4-6月に中国産イカ粉末を含む飼料を与えたナマズが白く変色する「白化症」を起こす例が増えている。しかし、ナマズ400トンは既に飲食店に販売された。農水産食品部は7月、養殖用飼料からメラミンが検出されたという届け出を受けてもそれを黙殺していた。当局は中国でメラミン騒動が起きて初めて、調査を行うなどと働くふりをしている。

 農水産食品部はまた、「中国で問題とされた22社の粉ミルク製品は輸入実績がない」と国民を安心させようとするばかり。しかし、問題は粉ミルクだけではない。年初来中国から輸入された乳成分入りのチョコレート、パンなど加工食品が308品目、1万3574トンに上った。食品医薬品安全庁は22日になって初めて、加工食品に検査を拡大することを明らかにした。国民の健康を守るのではなく、騒動が起きないことを願っているばかりに見える。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る