公明党は党大会で太田昭宏代表の再選を承認し、「太田第2期体制」がスタートした。先の通常国会では自民、民主両党の対決に埋没しがちだったが、福田康夫首相の退陣劇で主導的な役割を果たし、突然、存在感を増した。まもなく、自民党と連立政権を組んでから10年目に突入する。与党・公明党に三つの注文をしておきたい。
第一は、衆院解散・総選挙を直前に控えた臨時国会に臨む姿勢である。24日に発足する新政権は、当面の景気対策の柱となる補正予算に加え、米国発の金融危機への対応が焦点となる。同時に、国民は「食の安全」や年金記録の改ざん問題への対応を注視している。
与野党は、国会論戦を通じ、これら諸課題の具体的方針を明確にすべきだ。総選挙の争点を明確にすることになる。太田代表は大会あいさつで「政局ではなく生活こそが大事だ」と語り、その後の記者会見では「現在の経済状況を受け、総合経済対策をまとめたのでやらなければならない」と補正予算の必要性を強調した。自民党が論戦に消極姿勢なら、毅然(きぜん)として批判し、予算委員会審議の実現に努力しなければならない。
第二に、最近の行動に明快な説明を求めたい。福田首相とはアジア政策などで一致していたはずである。にもかかわらず「福田降ろし」に走った真意は何だったのか。選挙をにらんだ「党益」中心の行動と受け取られても仕方ない。
インド洋での給油活動継続問題への対応はさらに不可解だった。1月には新テロ対策特措法を衆院の「3分の2」で再可決する自民党に同調した。が、今回は同法を延長する改正案に賛同しながら、再可決に反対姿勢だった。太田代表はあいさつで「特措法は延長すべきだ」と述べたが、公明党の対応をめぐる経緯については触れなかった。
再可決に反対なら、1月の行動は誤りだったのか。テロ包囲網への対応を変更したのか。それとも、国民から反発の強い再可決は総選挙に得策でないという判断なのか。説明が必要だ。
そして、三つ目の注文は総選挙後の行動である。
民主党が勝った場合に同党と連立する可能性を示唆する幹部の発言もある。「世論志向政党」と指摘する声も聞こえる。政局に臨機応変に対応することも必要だろう。しかし、次の総選挙は公明党にとっては自民党との9年間の連立が問われる選挙でもあるのだ。
公明党が創価学会という強固な組織を支持母体としているのは選挙では強みだ。しかし、それ故に反発も強く、組織防衛を優先するだけでは創価学会との関係はアキレスけんになりかねない。この反発・批判を避けるために政権に身を置くというのでは国民の理解は得られまい。
国会審議と選挙を通じて、明快な説明と国民が納得できる行動を求めたい。
毎日新聞 2008年9月24日 東京朝刊