そのような中において、日本酒メーカーの基本とは「どなたにも美味しくいつでも適正価格で飲める丁寧な商品を造り、提供すること」だと思います。そこに当社独自の個性ある“薫り高きふくらみのある味わいを”生かすこと。
美少年酒造では50種類もの酵母を保持し、現在の美少年酵母は十数年前に開発した独自酵母を、年々の業界動向やユーザーの嗜好性を考慮して改良を重ね、徐々にアレンジした“派生タイプ”です。
また、地元の名水と上質な米が銘酒『美少年』をささえています。毎年良質の山田錦を地元の契約農家より1,000俵(全量)仕入れており、農家の方々とは毎日顔を合わせる親しい関係です。作付けから刈り入れまで膝を交えて意見の交換をしています。
軟らかく磨きにくいのが神力の特徴で、酵母に溶けやすく味にはふくよかな幅があります。昭和初期には飯米として流通していた神力ですが美少年酒造によって伝統の酒造りの貴重な素材へと生まれ変わりました。
昭和30年、40年代の右から左へと売れる時代が終わり、コンビニや量販店と新しいマーケットが広がっていく中、市場の流れに身を任せるメーカーであってはならない。
現場ならば一本一本、お客様と対話するように自分の心を込めて造り、営業ならば足繁く得意先をまわり、人間味で対応する。酒税制度が抜本的に変わり級別が廃止された昭和62年(1987)、緒方直明氏は社長に就任するとともに酒造りの原点に立ち戻るべく「一本一本に感謝をこめて・・・」をキャッチフレーズに、全社を挙げて取り組み、現在に至っています。