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2008年9月24日

 対岸の火事だと思った中国の毒粉ミルクが飛び火して大騒ぎである。メラミン汚染問題は、北京五輪への悪影響を心配して事件を隠していた、とも報じられている

事実なら、少なからぬ被害者を防ぐ機会を逃したことになる。罪作りな「平和の祭典」である。安物買いの銭失い、という教訓が、しみじみ身にしみる。カネどころか、健康までがおびやかされる昨今である

もっとも、安かろう悪かろう、という警戒心をあざわらう手口まであることを、事故米流用で知らされた。1キロ10円で買った米が何と400―800円前後で取引されていた。ブローカーが次々と介在し、値段をつり上げた。業者がたんまり利ざやを稼ぎ、売値の「偽装」までやってのけたのである

人体に有害な工業用物質が入ってしまった汚染ミルクは、日本でもあった。ヒ素ミルク中毒事件から、もう50年以上たつ。が、悲惨な出来事に懲りることのない人間は悲しいかな、どこにもいる

メタミドホスやメラミンも怖いが、国内外の拝金亡者の増殖の方がもっと危ない。舌がちぢこまってしまいそうな味覚の秋である。


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