医師不足など地域医療の危機をテーマにした「長野の医療を考えるシンポジウム」(県医療団体連絡懇談会、県社会保障推進協議会主催)が23日、松本市の県松本勤労者福祉センターで開かれた。県内の開業医、勤務医らパネリスト4人が医師の確保や医療制度の問題点について発言し、約100人が聞いた。
県厚生連佐久総合病院(佐久市)の長(ちょう)純一・地域診療所科医長は、長野県が長寿や低い医療費を実現できている理由について「衛生や保健福祉に先駆的に取り組んだ志の高い医療者がたくさんいたから」と述べ、医師育成の重要性を強調。医師不足解消のために、都市部出身者が有利となっている学力優先の医学部入試の見直しなどを訴えた。
松本市で開業している県保険医協会の花岡徹常任理事は、後期高齢者医療制度について「医療費の適正化が法律の目的になってしまっている。(登録医制度が導入されれば)患者が自由に医師にかかるのを制限する」と批判し、見直しの必要性を指摘。参加者からは、地域のかかりつけ医が最新の治療を学べる体制づくりや医療福祉における家族の役割の再評価を求める声が出た。