突然の方針転換に困惑 厚労相が見直し発言
出張講座は平日、20人程度が集まる場に広域連合職員が出向き、制度の狙いや仕組み、実際の保険料などについて約1時間、丁寧に解説する。75歳以上の被保険者だけでなく、介護福祉施設の職員ら、高齢者と接する機会の多い人にも制度を理解してもらう。 講座の実施を決めたのは17日。既に県内27の団体に開催案内を送付して申し込みの受け付けも始め、人数がまとまり次第、開催することにしていた。 これに対し舛添厚労相は20日、後期高齢者医療制度について「よくできた制度だが、国民に支持されないと維持できない。大胆に見直すべきだ」と発言した。廃止検討の方針に広域連合の山崎兼人総務課長補佐は「何の連絡もない。驚くばかり」と、あっけにとられた様子だ。 同医療制度は今年4月に導入され、年金から保険料が天引きされる仕組みに批判が集中。各地で保険料の徴収ミスなども相次ぎ、混乱が拡大した。同広域連合にも一時、1日200件近い問い合わせや苦情の電話が殺到した。 国民の批判をかわすため、政府は保険料の軽減などを矢継ぎ早に打ち出したが、相次ぐ制度変更は「職員でさえついていけない」(広域連合担当者)ほど。そんな中、高齢者や関係者の動揺を鎮めようと企画したのが同講座だった。 舛添厚労相の発言に広域連合の職員からは「われわれが取り組んできたことは、一体何だったのか」と憤りが漏れる。 自民、公明両党は麻生太郎自民党総裁が誕生した22日、制度の抜本的見直し方針を連立政権合意に明記することを決めたが、出張講座は当面、予定通り開催する。山崎課長補佐は「『廃止かもしれない制度の説明は不要』との声もあるだろうが、現実にいま保険料が徴収されており、粛々と制度への理解を求めていくしかない」と話している。
2008年09月24日水曜日
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