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うつがよくならないのは。

NINA / 2008.09.23 23:39 / 推薦数 : 0
うつの症状がなかなかよくならない,…
そんな患者さんが最近とても多い気がします。

業界(?)では,「新型うつ病」なんてコトバもちょっと流行っていたりして。
いわゆる,古典的・典型的なうつ病とは違うタイプの患者さんが増えているような印象は,きっと多くの精神科医が感じていることでしょう。

本当に「新型」なのか(昔から無気力型のうつとか,気分変調性障害と呼ばれる軽いうつが長く続くタイプとかありましたよね…),従来のうつ病とは別物なのか,という議論はさておき。
うつの症状がなかなかよくならない患者さんのお話をよくよく伺っていると,ある傾向が見えてくることが多かったりします。

それは,ご家族との葛藤。

何かちょっとしたことでごく身近な家族とのあいだにすれ違いのようなものが生じていたり,お互いに気にしていながら触れられないタブーのようなものが存在していたり。

たとえば,以前診ていた患者さんのなかには,結婚直後に数百万単位の借金をしていたことを数十年経ってようやく妻に打ち明けることができた男性がいらっしゃいました。この告白を契機に嘘のように表情が明るくなりうつも軽快していきましたが,妻は「何か隠しごとがあるとは薄々感じていたが,ずっと問い詰められずに自分も気になっていた」と話されました。

ほかにも,うつ病で休職中の夫が水晶の塊など観賞用の高価な石を妻に内緒で買い集めていることが妻に知られてしまい,家計を守りたい妻と自分の趣味を守りたい夫の間で葛藤が生じているけれどお互い相手に遠慮したり気まずく感じたりしてずっと無言で探り合いをしていた,なんてケースもありました。

身近な相手とのあいだに具体的な問題や葛藤を抱えている場合,どれほど適切な薬物療法がなされていてもうつ症状はそう簡単には改善しないのは明らか。

うつそのものへの治療だけでなく,診察室でもなかなか語られることのない家族間の「秘密の悩み」をいかにうまく引き出して,いかにうまく取り上げていくか…そんなところも私たちの腕の見せどころなのかな,と思っています。

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