「三度目の正直」ならぬ、四度目の挑戦でつかんだ「本命」の座だった。自民党総裁選は、早々と独走態勢を築いていた麻生太郎幹事長の圧勝に終わった。
昨秋の党総裁選で福田康夫首相に敗北。以来、講演などで全国を飛び回った地方行脚が奏功したという。総裁選レースでは「日本経済は全治三年」と景気対策優先を訴え、「選挙の顔」として自らをアピールしてきた。
吉田茂元首相の孫で、義父は鈴木善幸元首相という政界のサラブレッド。歯に衣着せぬ毒舌家の印象もあるが、明るいキャラクターの人情家としても知られる。知名度は高く、がけっぷちに立たされた自民党としては「麻生人気」に頼らざるを得なかったのだろう。
民主党は三選された小沢一郎代表が政治生命を懸けて悲願の政権奪取に臨む。麻生氏もあいさつで「総選挙で断固、民主党と戦わなければならない。選挙に勝って初めて天命を果たしたことになる」と強い決意をにじませた。
景気対策や社会保障政策、米国発の金融不安など諸課題にどう立ち向かっていくのか。今後は具体的な処方せんを示した説明能力や、リーダーとしての資質が問われる。
自民、民主両党の「選挙の顔」は決まった。政治決戦ムードが高まる中、それぞれの政権構想にじっくり耳を傾けねばなるまい。