悪評飛び交う中田英寿所属事務所の"偽善系"仕事術
2008年09月23日11時00分 / 提供:日刊サイゾー
現在、証券アナリストの間で注目を浴びている会社がある。大証の新興企業市場ヘラクレスに株式を上場したサニーサイドアップ(以下、SSU)だ。9月5日の上場初日、初値は公開価格の2800円を下回る2760円だったが、その後は買い注文が殺到し、値幅制限いっぱいのストップ高(3160円)で上場初日の取引を終えた。
SSUというPRマネジメント会社が発足したのは85年のこと。もともとは企業の商品やサービスをPRする事業が主であったが、90年代に入ってからスポーツビジネスに進出。そして、一気に飛躍を遂げた要因は日本サッカーの異端児・中田英寿の存在であった。95年にマネジメント契約を結んで以来、中田と絶大なる信頼関係で結ばれたのが次原悦子社長。中田が世界の舞台を駆け上がるとともに、SSUと同社長も業界内での力を増していくことになった。98年に「nakata.net」という中田自身のHPを立ち上げ、彼の言動や肖像権をSSUが管理。ただでさえ無類のマスコミ嫌いの中田だけに、彼の発言は希少価値が付き、同HPは1日のアクセス数が最大1500万超という"お化けサイト"へと発展。その後、「nakata.net」を書籍や携帯サイトへと展開し、さらにはSKY PerfecTV!で番組化させるなど、ビジネスの拡大を成功させた。
03年夏には、中田は、Jリーグ時代に所属していたベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)のスポンサーだった東ハトの執行役員に就任し、経営危機に陥っていた同社の再建に貢献するといった、なんだかプロレスのようなイメージ戦略を仕掛けている(しかし、東ハトは、関連会社が多額の負債を抱えたことで、03年に民事再生法の適用を申請して倒産。ただ、本業の食品事業については黒字経営であったため、倒産の原因となった不動産事業を分離して、ユニゾンキャピタル傘下にてバンダイと丸紅の協力を得て再建された)。ネームバリューを徹底的に利用し、多ジャンルに進出するその手法は、「中田ビジネス」と呼ばれ、SSUの経営方針の根幹となっている。
サッカーに造詣が深い、コラムニスト小田嶋隆氏は、SSUと中田の関係をこう分析する。
「私から見ると中田は現役時代からサッカーをバカにしていたフシがありましたね。だから、SSUや広告代理店の人たちにシンパシーを抱いており、引退することもチーム関係者やチームメイトよりも先にSSUに伝えたんだと思います。周囲の人たちに文才やビジネスセンス、ファッションセンスなどをおだてられた結果、サッカーよりもビジネスに執着するようになってしまったのでしょう」
●貧困問題を訴える一方 贅を尽くした前夜祭
北島康介(水泳)、杉山愛(テニス)、為末大(陸上)といった一流アスリートと契約を交わしながら、日本スポーツビジネス界の中で際立つ企業となったSSU。その威光を最大限に示したのが、今年6月7日に開催された「TAKE ACTION 2008 +1」というサッカーエキシビジョンマッチであった。中田引退後、初めて彼のプレーを公にお披露目する場であり、また、世界の名立たる選手が集結するということで日産スタジアムには6万3143人の観衆が駆けつけ、超満員。日本代表でもスタジアムを満員にすることが難しくなった昨今だけに、「中田ビジネス」のすごさをあらためて見せつけた。
しかし、この試合においてSSUは「単なる金儲け集団」(プロダクション関係者)という印象を強くすることとなる。このエキシビジョンマッチは「世界の貧困や環境破壊問題を訴える」という趣旨だったため、一部メディアで「慈善試合」と報道され、観客の多くはチャリティマッチと思い込んでいた。だが、実際はチャリティマッチではなく、SSUが「今回の試合はあくまで地球の環境問題や貧困問題を考えるきっかけを与えるもの。入場料収入などの収益金を寄付するわけではない」と明言した通り、収益はSSUへ流れる仕組みとなっており、詐欺まがいの行為として批判されることとなったのだ。
ご記憶の読者も多いだろうが、05年に起きた、日本でSSUが仕掛けた「ホワイトバンド問題」の前例もある。「ほっとけない 世界のまずしさ」を合言葉に、1本300円で販売されたホワイトバンドは若者を中心に一大ムーブメントを起こし、国内で200万本の売り上げを記録するに至った。
しかし、「直接的に、貧困国へ物資やお金がいかないキャンペーン」ということで痛烈な批判を受けたのであった。6月に行われたエキシビジョンマッチはまさにその二の舞といえよう。小田嶋氏も「慈善事業をネタに利益を生み出そうとする発想そのものが、批判の対象になっても仕方がない」とこれらの活動を批判する。
だが、SSU側はこの運動を「チャリティ」ではなく、「あくまでも啓発活動」だと主張している。とはいえ、そういったやり方も「金儲けの手段以外の何物でもない」というのがサッカー業界、テレビ業界内でのもっぱらの評判となっている。「SSUとは二度と一緒に仕事したくない」と日本テレビのあるスタッフはこぼす。
「SSUはワガママでしょうがない。TAKE ACTION 2008 +1の放送の現場は『早く終わってくれ』という空気でしたね。試合前日まで出場メンバーを教えてくれないし、ゲストで来たヨン様をはじめ、スタンドに来た芸能人を画面に映すように指示されて、わざわざそれをチェックするディレクターまでSSUから派遣されてきた。さらに、取材陣からも、駐車場代1台につき1000円を取る始末。やりたい放題ですよ」と嘆いた。
また、試合に参加した外国人選手はすべて新宿の某一流ホテルのスウィートルームに宿泊したという。試合前夜に行われたパーティーは贅を尽くしたもので、参加者のひとりは「あんな度肝を抜くような贅沢は見たことがない」と目を丸くしながら「貧困問題を訴えている人たちが、こんなに金をかけていいものなのか疑問でしたよ。貧困問題について話している人もいないし、その場での説明もなし。慈善試合を行う雰囲気はまったくありませんでした」と首を傾げた。
●旅の目的は「自分探し」? それとも「金脈探し」?
さらに、中田の引退後の「自分探しの旅」と試合の映像をまとめたDVDが9月26日に発売されるのだが、このDVD1枚が売れるたびにアフリカへ蚊帳を1枚送ることになっている。そうした寄付活動を行うという理由により、試合参加者はこのDVDによる売り上げの印税を請求しないというサインをなかば強制的にさせられたのだ。「自社に所属する人間の肖像権だけは必要以上に保護して、他人の肖像権は軽視する。蚊帳ひとつの原価なんてたかが知れてますよ。本当に自分勝手な会社だと思いますね」(前出・プロダクション関係者)
ちなみに、「自分探しの旅」の資金も、日本テレビの報道番組『NEWS ZERO』で放映するということで、同局が旅費の一部を出資したのだが、番組内の映像の権利はSSUにあるのだという。それをDVDとして販売して金儲けしようとしているのだから、SSU恐るべし。「人の金で『自分探しの旅』をして、結局は金儲け。いい身分ですよね」(前出・日本テレビスタッフ)
このような傲慢な態度をとれるのも、中田や北島といった"財産"をSSUが抱えているからこそだろう。
「まだまだSSUの天下は続く」と前出のプロダクション会社関係者は語る。スポーツマネジメントの世界は独特で新規参入が難しい世界だからこそ、今後もSSUが力を発揮し続けるというのだ。「エイベックスがダルビッシュ有(野球)と契約したり、吉本興業には長谷川滋利や石井一久ら(共に野球)が所属するなど、スポーツマネジメントを始めたものの、上手く軌道に乗せられず、すぐに傾きました。大手のホリプロでさえ、スポーツ部門は縮小傾向にあります。そんな業界の中にあって、スポーツビジネスに特化して急成長したSSUの力は絶大です」(プロダクション関係者)
「たのしいさわぎをおこしたい」というキャッチフレーズをSSUは掲げているが、これでは、楽しいのは自分たちだけ、周囲はまったく楽しくない、という有り様だ。SSUが創り出す「利益」と「虚像」はこれからさらに膨れ上がっていくに違いない。
(文=佐竹仁義/「サイゾー」10月号より)
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