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鞆よ!

【NEWS ニュース】

「鞆はイタリアの港町のよう」 陣内教授

2006年01月21日

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「瀬戸内の港町が世界遺産になる可能性はある」と語る陣内秀信教授=福山市緑町のウェルサンピア福山で

 江戸期の港町の風情を残す福山市の「鞆の浦」の世界遺産登録を目指す「瀬戸内海を世界遺産にしよう会」を立ち上げた市民団体「福山まちづくり円卓会議」が19日夜、同市緑町のウェルサンピア福山で、イタリア建築史が専門の陣内秀信・法政大教授(58)を招いてセミナーを開いた。陣内教授は「世界中にもなかなかない」と鞆の景観を高く評価。「瀬戸内の歴史的港町が一体的に世界遺産となる可能性はある」と強調した。講演の主な内容は次の通り。(佐藤善一)

 学生時代から鞆が好きで、海外の友達を何度か案内したことがある。彼らは一様に「日本にもこんな歴史的都市があるのか」と感激してくれた。船で瀬戸内の港町を巡ったこともあるが、何といっても鞆が素晴らしかった。海から来ると入り江に吸い込まれるような感じがして、町なかは路地が多い。地中海の港町と本当によく似ている。

 イタリアの港町も、19世紀後半から20世紀にかけて内陸に鉄道が走り廃れた。だが、いまは歴史的空間や自然が見直されて、南イタリアを中心に港町が活気づき、観光的にも注目を集めている。

 欧州はここ25年ぐらい、車との付き合いを真剣に考えてきた。古い街並みには車を入れず、歩行者空間化して大成功している。街並みを眺めながらゆったりと歩き、リフレッシュできることが人々をひきつけた。

 世界遺産登録は凍結保存とは違う。イタリアでは、人が住む所も含めて世界遺産になっている場所が多い。市民が快適に生活しながら個性的な文化や歴史を伝え、それを観光資源にもしている。

 有名な歴史的港町アマルフィはメーンの通りしか車が入れない。急坂ばかりで大変だが、住民の誇りは大変なもの。「アマルフィの人は死んでも天国へ行く必要がない。なぜなら今が天国だから」と言うおばあちゃんもいた。

 世界中でさまざまな景色を見てきたが、鞆ほどの眺めはなかなかない。不便な場所でいかに暮らすかという悩みはどこも一緒。世界の都市ともっと交流して知恵を学べばよい。

 市民のための都市。それが観光にも役立っていく。瀬戸内海の港町が一体的に国際的な評価を受け、世界遺産に登録される可能性はあると思う。

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