【ニューヨーク小倉孝保】国連安全保障理事会は22日、アフガニスタンに展開する国際治安支援部隊(ISAF)の任務を1年延長する決議案を全会一致で採択した。グルジア情勢を巡る米国との対立から、ロシアが採択に難色を示すのではとの見方もあったが、「アフガンの安定が重要」との点で両国が一致した。
決議は、「北大西洋条約機構(NATO)の指導力並びにISAFと、海上阻止部門を含む不朽の自由作戦(OEF)連合に対する多くの国の貢献」に謝意を表明したうえで国連憲章7章(平和に対する脅威や侵略に対する行動)に基づき、ISAF任務を来月13日から1年延長することを認めた。
ロシアは、米軍などによるアフガン攻撃で一般市民への犠牲が増加している点を懸念し、市民の犠牲を減らすよう求める文言を決議案に入れるよう要求。結局、「ISAFや他の国際部隊が市民の犠牲者を減らす努力をしていることを認めつつも、この点についてさらなる強固な努力を求め、市民の犠牲が出た場合、調査を要求する」という文面が入った。
安保理は01年以降、毎年、決議を採択してISAF任務を延長しているが、昨年の決議案では、日本政府などの働きかけで突然、OEFへの謝意が盛り込まれたことに、ロシアが反発して棄権、全会一致が崩れた経緯がある。グルジア情勢を巡り米ロ関係は「新冷戦」と呼ばれるほど冷え切り、今回の決議案も全会一致での採択が難しくなるのではとの見方もあった。最終的にアフガンの安定の重要性では両国の利害は一致した。
採択後、ロシアのチュルキン大使は「海上阻止行動がアフガンでの対テロ作戦に限定されることが明確になった。また、市民の犠牲を少なくするよう求める項目も入った」と賛成の理由を語った。ロシアが今回、柔軟な姿勢をみせたことから、欧米にはイランの核開発をめぐる追加制裁でもロシアが最後まで抵抗することはないだろうとの見方が広がっている。
毎日新聞 2008年9月23日 12時31分