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麻生太郎―川端達夫対談 日本のマンガ、アニメ、ゲーム大いに語る(上)

 日本経済の低迷が続くなか、新たな“輸出産業”として各界から期待されているのがマンガ、アニメ、ゲームなどのコンテンツ産業だ。その国際競争力を高めるため、政官界も本腰を入れてコンテンツ育成に取り組み始めている。日本のコンテンツ産業の現状と今後について、「永田町のカウンターカルチャーの雄」として知られる麻生太郎自民党幹事長と、テレビゲームに造詣が深い川端達夫民主党副代表に話を聞いた。

 ――日本のコンテンツは世界で注目されていますが、特にマンガの評価は高いですね?

 麻生「いまのマンガは本当にすごいよね。へたな小説読むより面白い。『ゴルゴ13』以上にインターナショナルな小説なんて、知らないもんな。川端先生はマンガ読むの?」

 川端「読みますよ。麻生先生ほどマニアックじゃないけど。私が大学生だった1960年ごろは、権力をやっつける反体制マンガがはやった。白戸三平の『サスケ』とかね」

 麻生「そうそう。それが70年代に入ると、地球のために頑張っちゃう『宇宙戦艦ヤマト』のような体制マンガになって、80年代には“組織に入っているけど俺は俺”っていうジョージ秋山の『浮浪雲』みたいな、キャラが立つようなのが出てきた。90年代にはオカルトブームが来て、なんか世の中わからんなあと思っていたら、案の定、オウム真理教とかが出たじゃない。マンガって時代を象徴してると思うな」

 川端「私は最近、毎週月曜日に欠かさず『週刊現代』を見ています。(連載中の)『担ぎ屋どおも』を読むためにね。ゴルフマンガなんですが、プロでも知らないようなことが山盛り描いてあるので、非常に参考になる。だけど、単なるハウツー・マンガでもない」

 麻生「それ、わかるね。山崎豊子の『白い巨塔』は有名だが、『ブラックジャックによろしく』のほうが面白かったり、ためになる部分もある。最近だと『医龍』もね」

 川端「最近のマンガは読みやすいし、企画と取材もきちんとしていて、ストーリーがしっかりしている。質が高いと思う。相変わらずエログロみたいな、程度の低いモノがたくさんあるのも事実ですがね」

 麻生「単純な話、マンガは面白いから、みんな読むんだよね。マンガって書店やスタンドに並べて、面白いものだけが売れる。夕刊フジと同じだよ」

 ――マンガなどのコンテンツ産業が今後も伸びていく方策は?

 麻生「最近はテレビゲームも日本の有力コンテンツになっているけれど、そうしたコンテンツの付加価値を理解できる人がどれだけその産業にかかわっているのかが気になるね。付加価値の管理をきちんとやれば、とてつもないお金が日本に入ってくると思う。著作権管理とか、まだまだ甘いんじゃないのかね」

 川端「私はコンテンツ制作にかかわっている人たちの生活が気になりますね。たとえば、経済産業省が作成した『アニメーション産業の現状と課題』によると、テレビアニメーション番組のビジネスは本当にひどい。スポンサーは5000万円出しているのに、最後の元請けプロダクションは800万円で制作している。これでは産業は絶対に育たないですよ」

 麻生「それはひどいな」

 川端「安い労働力によってコストは下がるけれど、品質はどんどん悪くなる。劣化を起こすことが最初からわかっているビジネスなんです。この構造を変えなければいけませんね」

 麻生「たしかに、その部分を真剣に考えないと、マンガにかぎらずコンテンツ業界の下を支えているところが育たなくなるね」

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◇マンガ業界の現状
 ネットメディアの隆盛などで出版業界は長らく低迷しているが、出版コンテンツの中でも強力といわれるマンガ業界にも影響は及んでいるという。

 業界関係者は「ユーザーの暇な時間をケータイやネットと取り合っているような状況で、マンガ離れは確実に進行している。また、マンガ喫茶と『ブックオフ』のような古本屋大手の台頭でコミックスが売れない状況が続いており、これが出版社の体力低下に拍車をかけている」と話す。

 それでも何とかやっていけるのは、テレビドラマやアニメ、ゲームなどのメディアミックス展開が可能な一部の大ヒット作品のおかげ。「権利収入は微々たるものだが、宣伝効果でコミックスが売れるのが大きい」という。

 大手出版社は電子書籍などを利用したネットでの展開にも積極的に取り組んでいる。とくにマンガは「著作権者が基本的に漫画家さん1人なので、権利関係の調整がしやすい」(大手出版社幹部)という。

投稿日: 2008年08月21日

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