アニメックの頃… 著/小牧雅伸

記者会見

悔しい事に一歩早くデビューした『宇宙戦艦ヤマト』は、当時は人気アニメの代名詞であった。ガンダムは、知名度としてはまだまだ低かったのだ。新聞記事ですら「ヤマトに続け」である。それはしかたがないのだろうが、「アニメ=ヤマト」という認識の一般紙の記者が集まる記者会見はなかなかのズレも見られた。
某新聞記者の「松竹さんもヤマトに手を出すんですか」は、なかなか痛い質問であった。
10月9日、築地の東劇ビル「エスカルゴ」にて、ガンダム劇場化の記者会見が開かれた。
最終的には富野監督の説明は、ファンに「どんな映画であるかを」正確に伝えている。
「総集編のダイジェストにはしたくありません。43本の話を二時間半にまとめることは不可能な話で、一本の映画としてひとつの話に流れを持った作品に仕上げたいと思っております。ガンダムのテレビ放映版を熟知しているファンがこの映画を観て十分満足していただけるものにしたい」
これだけで、打てば響くようにファンには伝わった。DVDで劇場版を観た人にとって、周知の事実であるが、この最初のガンダム劇場版は、1話から13話の総集編という感覚があるかも知れない。だが、当時の環境では、これはベストの選択であった。
完成度の高い1話から13話をまとめて第一部にする。話数調整の一話完結話は切る。これくらいはファンだったら想像できる。逆にこれがこけたら、一番観たかった安彦良和原画によるクライマックスが観ることができないではないかという不安である。公式発表されたわけでもないのに、ファンの誰もが「機動戦士ガンダムは三部作」と決め込んでいた感じであった。予想を外したのは最後の構成で、アムロの故郷はアメリカに有り、母と再会してから後に追撃部隊のランバラルと戦い幕を閉じるというものであった。これには、サプライズがあり、松竹の看板女優である倍賞千恵子がアムロの母、カマリアを演じるというものであった。

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