アニメックの頃… 著/小牧雅伸

「ザ・宇宙」

アニメック14号表紙画像

ラポートが出版社らしくなったので普通の本第一号として出版されたのがこれだ。「アニメック」や「ファンロード」は絶対に普通の本ではないだろう)
エアピースによる精密宇宙画の第一人者、岩崎賀都彰(現在 岩崎一彰)氏の宇宙絵を集めた画集である。当時、NASAの科学者が、そのリアルさに驚嘆し「これが絵なわけはないだろう。NASAの最新写真ではないのか?」と発言した絵の数々は好評であった。
が、これは編集部関係なしで、海野社長が独自ルートで編集したものである。この時のNASAとの付き合いで、後に日本初のスペースシャトル図録「ザ・スペースシャトル」も作られた。どういうコネかは知らないが、NASAが気前良く、資料を貸してくれたので展示会まで行ったくらいである。資料で借りた耐熱タイルをバーナーで赤熱させても反対側が指で触れるくらいの断熱性があるのを編集部で密かに実験したのは私である。ちなみにボールペンで突くと穴が開くのも発見した。「なぁ、みんな耐熱タイルの耐熱性はすごいが、カラスに衝突しただけで割れる脆さがあるぞ」と説明して呆れられたものである。返却した耐熱タイルの中に穴が開いてるのは、私が犯人。ごめんなさいNASAの人。ま、これも時効だ、時効。

この年は、記録全集を4巻までと、アニメック14号までを編集して終了した。これまでのアニメックが、ミクロな視点で細かい事をやっていたのに対して、二代目の参入により力不足と諦めないで、ともかく大きいことをやってみように変わって行ったのは事実である。

14号の「日本アニメーション特集」などは、過去に放映された全作品をまとめ、主要キャラを演じた声優にスポットをあてている。キャラクターは絵だけで論じる物ではなく、その声を演じる俳優を含めて論じるべきである。これが二代目の強い意志であった。まず声優ありきというその発想は正しく、声優インタビューの記事について応援の手紙が殺到するようになっていた。ついては声優ではなく新しい言葉が必要だろうと二代目は試行錯誤する。たしかに演劇畑から「声を当てるお仕事に入った場合」、俳優さんが「声を演じる場合」、そして「声優」では微妙にニュアンスが異なっていた時代であった。実際に、声優をやりつつ、「そこらの声優と一緒にしないでよ」と怒る大御所もいたわけである。

この声優という職業に、キャラクター・ボイス(CV)というまったく新しい表現に二代目が統一したのは、この数年後の事であった。まだ彼は、大学と編集部を往復する勤労学生だったのである。

次回予告 二代目副編集長の采配のもと、円熟期を迎えた「アニメック」編集部。一体どこに突き進むのか。ご期待ください。

(2007/09/28)
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