アニメックの頃… 著/小牧雅伸

ガンダムと赤ザク

これも抱腹絶倒のお話しとなるが、79年の年の瀬がデビューであった。第2回アニメックフェスティバルが12月23日に開催され、ステージショーでケッダーマン制作のガンダムと品田冬樹制作の赤ザクが闘ったのである。ケッダーマンのロボット着ぐるみには定評があった。なにしろ鉄人28号などは、私でも入れたのである。フルスクラッチでサンダーバード・メカを作れる技術を持つので、デパートのガンダムショーに使われる着ぐるみよりも精巧だった。
書いていて思いだしたのだが、サンライズに無認可のガンダムショーというイベントを何度か見かけた。ジオン兵が子供と司会のお姉さんを攫うと、ガンダムが駆けつけてなぎ倒すという「そりゃ何か間違ってないか」という物だが、「仮面ライダー」や「ゴレンジャー」のショーが人気だったので、地方都市では何でもいいからやっていた時代である。最後には色紙を買ってガンダムの前に並ぶと、マジックインキを持ったガンダムが「ガンダム」とサインしてくれる途方もないショーである。
線と面で構成されたガンダムは、ケッダーマンらしくシャープに作られていたが、曲線で構成されるザクはそうはいかない。ジアーラを作った品田冬樹は、特撮造形の下請けプロダクションでアルバイトをしていた技術を活かし、ウレタンを削りだしたザクを制作した。特殊塗装によりマグマ大使のように皺の寄らない素晴らしい造形であった。このザクはフルフェイスのヘルメットを肩に取り付ける仕組みで、実は首が回らない物であった。上半身と肩で振り返る演技ができるので、プラモデルよりも可動範囲は広いのだが……。これが秘密である。
つまり、XLの内装を抜いたヘルメットの中で首は自由に回せるのだ。額に麦球を仕込んだモノアイをハチマキのように巻き、中で首を回すとモノアイが左右に動くというギミックになるのだった。この赤ザクがどれくらい可動性能が良いかといえば、一年後に「ふぁんろーど」が制作された時に、読者プレゼントに当選した読者に、ザクが直接配達するという企画があり、西武線に乗ったザクが青梅の読者宅まで届けたという実績があった。昼間の空いた西武線とはいえ、赤ザクがプラモデルの大箱を抱えて、座席に座っている姿は見物であった。
※校正班からは毎度のように「話を作るのはやめて下さい」という連絡が来るのだが、事実なんだからしかたがないだろう。だいたい、数年前に鉄人が西武線で切符を買った時のギャグ「ロボット一枚」は、この時でも健在だったのだから。この手のイベントでは、混成チームなので「所沢大人一枚」「所沢子供一枚」という台詞が飛び交っていた。今では自動券売機やパスモなので、出来ない。ロボットを着たまま「ロボット一枚」と言った時の駅員の表情ほど面白い物はないのである。考えてみたら、よく注意されなかったものだと思う。
ちなみに、後に劇場作品の宣伝イベントで、赤ザクチームとガンダムチームに別れて、原宿の歩行者天国で「はないちもんめ」まで披露した伝説の着ぐるみであった。

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