「Business Media 誠/ビジネス好奇心を挑発するウェブサイト」はこちら
0 0 1 0 0 0 0 3 0 0 5
ITmedia News RSS一覧
あとで読む
Blogに書く
プリンタ用表示
Dowjones
ニュース

[WSJ] 中国毒ミルク事件、検索エンジンBaiduも巻き込まれる

Baiduが、酪農業者から金をもらって都合の悪い情報を検索結果に載せないようにしているとの憶測が流れている。同社はこれを否定している。
2008年09月22日 17時54分 更新

ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)

 中国の大手インターネット検索エンジンBaidu.comが、汚染ミルクをめぐりユーザーの反発を受けている。時に「中国のGoogle」と呼ばれる同社の急速な成長と市場優位の裏には影があることを示す出来事だ。

 Baiduは、同社が汚染粉ミルクについての情報を検閲しており、酪農業者から金をもらって否定的な情報が検索結果に出ないようにしているとするオンラインの憶測を繰り返し否定してきた。この数週間、汚染ミルクが原因で数人の乳児が死亡し、6200人以上の乳児が病気になっている。

 同社は先週、数社の酪農業者から連絡があったことを明らかにしたが、都合の悪いニュースを検閲してほしいという要求は「きっぱり断った」と明言し、ライバル企業がうわさをあおっていると非難した。

 「Baiduは真実を尊重している。当社の検索結果はそれを反映している」と同社は声明文で述べている。

 中国政府は、メラミンで汚染された粉ミルクで乳児が死亡したり病気になっていることを明らかにしてきた。ある中国メーカーと地方自治体の職員は、このメーカーが人気の粉ミルク製品をリコールしている間でさえ、その製品に有害な化学物質が含まれていることを何週間も開示しようとしなかった。

 Baiduがこの隠ぺい行為に関与したという証拠はない。だが中国のインターネット業界観測筋は、既に厳しいプライバシー制約や次第に声高になるライバルと戦っているBaiduに対し、競合各社が新たな挑戦を突きつけていると語る。

 またこの件は、Baiduのビジネス慣行に光を当てている。通常の検索結果とは別に検索広告を表示しているGoogleとは違って、Baiduでは広告主が金を払って、通常の検索結果内の上位の位置を獲得することができる。

 「Googleは世界的に厳しい目を向けられるようになっており、責任ある態度を取る必要がある」と北京のインターネット・技術企業Marbridge Consultingのマネージングディレクター、マーク・ナトキン氏は語る。「市場の慣行という点で言うと、明らかに(Baiduは)それよりも勝手なやり方をしている」

 Baiduは9月18日、この慣行についてのコメントを拒否した。

 同社はほとんどの検索エンジン以上に通常の検索結果に検索広告を統合しているが、ユーザーからの苦情を受けて、検索広告に2文字の小さなタグを付けるようになった。同社はGoogleとは違って、検索広告の背景色を変えて区別したりはしていない。また「携帯電話」などの人気キーワードの場合、検索結果の最初の1ページはほとんど検索広告だ。

 業界アナリストは、こうした慣行が原因で、教養や経験のある都市部のネットユーザーの一部にはBaidu離れが見られると指摘する。「ユーザーの我慢にも限度がある」とナトキン氏は語りつつも、まだ新しい中国のインターネット市場は、西洋よりも寛容だと付け加えた。

 Baiduは「多額の収入を得ている。比較的進んだ市場だったら多くの顧客を失うかもしれないが、同社はそれほど顧客を失っていない」と同氏。

 調査会社Analysys Internationalによると、Baiduは今年第2四半期に中国検索エンジン市場で64.4%のシェアを獲得(売上高ベース)、第1四半期の60.7%からシェアを伸ばした。同じ期間に、同国でのGoogleのシェアは26.8%から26.1%に下落したという。Baiduは米国のNASDAQ市場に上場しており、時価総額は87億ドル。第2四半期は売上高が倍増して1億1700万ドル、利益は87%伸びて3900万ドルとなった。

 Baiduは独自の電子商取引ビジネス立ち上げを計画しており、これはオークションサイトTaobao.comとその親会社Alibaba Groupにとって大きな挑戦にとなる。この計画には、Alibaba.comと直接競合するB2BサイトとB2Cサイト、Taobao.comと競合するオンラインオークション、AlibabaのAlipayシステムのライバルとなるオンライン決済システムが含まれる。

 両社の間でオンラインプライバシーをめぐり争いが起きたのは、そうした状況も一因となっている。Taobao.comは9月8日に、Baiduの検索クローラーがTaobaoの出品情報をインデックス化できないよう締め出した。GoogleやYahoo!などほかの検索エンジンも部分的にTaobaoにアクセスできなくなっているが、Baiduほどではない。Yahoo! ChinaはAlibabaの傘下にある。

 Alibabaは、不正な出品者が検索結果を操作しようとする可能性があり、消費者を保護するための対策を取っていると説明している。「Taobaoは、信頼性に応じた度合いで検索エンジンを遮断している」とAlibabaの広報担当者クリスティーナ・スピンドラー氏は言う。「Baiduからのトラフィックの品質が低く、Baiduからのクリックのうち、Taobaoでの商品の販売につながったものは非常に少ないことに気付いた」

 Baidu創設者で会長兼CEOのロビン・リー氏は、TaobaoがBaiduを遮断したのは「当社が立ち上げようとしている競合サービスへの懸念」によるものだとしている。

 ほかの中国インターネット企業は、ユーザー生成コンテンツ(UGC)の価値を認識し始めており、自社のコンテンツを金もうけに使おうとするかもしれない他者のアクセスを遮断している。Sohu.comのブログサービス、中国版FacebookのXiaonei.comなど幾つかの人気サイトも、クローラーの遮断に動いている。SohuとXiaoneiの広報担当者はそれぞれ、遮断はユーザーのプライバシーを守るためであり、すべての検索エンジンに適用されると説明している。

 リー氏はこれまで同様、懸念はしていない。「今に始まったことではないし、Baiduを含め、どの検索エンジンにも著しい影響が出たことはない」

[Sky Canaves,The Wall Street Journal]


この記事はダウ・ジョーンズとの契約の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。

Copyright (C) 2008 Dow Jones & Co. Inc. All rights reserved.


速報インデックスへ




アクセストップ10

ランキングトップ30 »

キャリアアップ

Feed Back