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【主張】麻生新総裁 政治不信拭う指導力を 「ばらまき競争」には陥るな

2008.9.23 03:28
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 自民党新総裁に麻生太郎幹事長が圧倒的勝利で選出された。「衆院選の顔」として予想通りの勝利だった。しかし、現状の政治不信や党の危機への答えがこれで出たと考えるなら見当違いである。

 汚染米問題への対応を挙げるまでもなく、相次ぐ行政の不祥事、不作為は霞が関を十分にコントロールできていない自民党政治の限界と受け止められている。安全な生活、将来設計への不安も拡大している。ねじれ国会を乗り切れず、2代続けて首相が政権を投げ出した事態も自民党不信に拍車をかけた。

 なぜ自民党なのか、改革を後退させず、この国をどう進めていくかの答えを示すことが、新総裁の最大の責務である。

 ≪選挙向けよりも政策だ≫

 党員投票に基づく都道府県連票の9割超を集めるなど、麻生氏の圧勝は残された切り札への期待の高さを示したが、あくまでも自民党内のレースだ。

 世論調査で次の首相にふさわしい政治家を問えば、麻生氏が民主党の小沢一郎代表を大きく引き離すデータが示される。しかし、次期衆院選での投票動向調査では自民、民主が拮抗(きっこう)し、「民主中心の政権」への期待が「自民中心の政権」を上回る傾向が続く。

 麻生人気で政権維持が安泰になるほど、状況は甘くない。しっかりした政策を打ち出し、指導力を発揮してほしい。

 とくに麻生氏は、民主主義の価値観と国際協調を重視し、インド洋での給油支援の必要性を主張している。ぎくしゃくしがちだった日米関係の修復にも全力を挙げてほしい。新テロ対策特措法に反対した民主党との対立軸を打ち出し、活動延長を担保する方策を臨時国会で示すべきだ。

 一方、小沢代表が争点として投げかけている官僚主導政治打破について、麻生氏の立場は鮮明といえない。総裁選の論戦でも「霞が関をぶっ壊す」と唱える小池百合子氏との議論はかみ合わず、経済政策に比べれば小さな問題と位置付ける姿勢がうかがえた。

 記者会見で「政治への不満をどう解消するかが私に与えられた使命だ」と語った。具体的な実行を見たい。

 ≪「古い自民党」では困る≫

 麻生氏は「日本経済は全治3年」とし、景気対策を重視する積極財政論者である。構造改革の継続を表明してはいるが、財政出動の必要性を強調し、2011年度の基礎的財政収支黒字化目標まで先送りする意向だ。

 これは小泉改革のひずみ是正という域を超え、その対極にあると言ってもよい。かつての古い自民党に戻るのではないかという懸念を拭(ぬぐ)えない。

 確かに日本経済はマイナス成長に入った。リーマン・ブラザーズ破綻(はたん)など米サブプライム問題の影響は、さらに景気を下押ししよう。しかし、それは原材料価格高騰を含めて、国内要因より外的要因の影響によるものだ。

 いくら定額減税などの財政出動を実施しても効果は薄い。必要なのは新価格体系に対応する構造改革策だろう。あの深刻なデフレ局面でも財政出動を伴う景気対策を行わずに経済再生を果たした小泉改革を想起してほしい。

 麻生氏は消費税に対しても、引き上げの必要性は認めても、景気回復後とするだけで時期を明示していない。だから2011年度の黒字化目標を先送りする意向なのだろうが、財政出動による赤字を拡大し続けたらどうなるか。

 2011年は団塊世代が年金の本格的受給年齢に達する直前だ。それまでに黒字化しておかないと大増税以外に社会保障制度と財政の持続可能性は確保できまい。市場の信認も決定的に失う。

 これで総選挙が戦えるとは思えない。小沢民主党は黒字化目標を先送りする方向で、消費税も据え置くとしている。一方で、高速道路の無料化や子ども手当、農家の戸別所得補償、揮発油税の暫定税率廃止などを打ち出している。

 つまり、ばらまき度でははるかに上だ。その財源は特別会計見直しに求める荒唐無稽(むけい)さだが、国債という借金をあてにする麻生自民党も、安易さでは五十歩百歩だから、これを論破できまい。

 このままでは総選挙は人気取り競争に陥る。国民に安心を与える社会保障制度と税財政改革を正面から議論しないのでは政治の役割は果たせまい。

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