彼とは仕事関係で知り合った。
出会ってすぐ、いいなって思って、どちらから誘ったかは
今となってははっきりしないけど、ごく自然に付き合いが始まった。
もちろん彼が結婚していることは承知の上だった。
始めは恋をしているだけなんだと思っていた。
思い込もうとしていたのかな。
とにかく罪悪感なんてなかった。
本気になんてならないと思っていた。
私も、おそらく彼も。
私は何も欲しがらなかった。
結婚願望もなかった。
彼とほんの少しの時間を共有できれば、それでよかった。
「愛してる」なんてお互い言わない関係。
だけど、遊びが本気になるのに時間はかからなかった。
いつか終わりがくるはずの関係なのに・・・
その頃から、眠れない夜が増えてきた。
妻に二人ことがばれたのはちょうどそんな頃だった。
妻との話し合いの結果、彼は「離婚するよ」と言った。
電話で彼からその話を聞いたとき足がガクガク震えたのを覚えている。
今さらだけど、罪悪感の波が押し寄せてきた。
でも、もうあとに引けない。
彼が初めて「愛している」と言った。
この頃が、俗に言う「ラリっている」状態だったのかもしれない。
冷静な判断ができなくなって、気持ちだけが舞い上がっていたような気がする。
|
|