出産時に母親を失った遺族を支援しようと、産科医らでつくる団体が22日から募金活動を始めた。乳児を抱えて精神的にも苦労の多い遺族を経済面から支える狙いがあり、一般市民にも呼び掛ける。
この団体は、福島県立大野病院で帝王切開手術中に女性が死亡した医療事故で業務上過失致死などの罪に問われ、無罪が確定した産婦人科医を支援してきた医師らで作る「周産期医療の崩壊をくい止める会」。
周産期の母子の死亡率は同会によると、日本は世界でも際立って低いが、毎年約50人の母親が分娩時のトラブルで亡くなっている。舛添要一厚生労働相は、医療機関の過失証明がなくても補償する「無過失補償制度」を妊産婦の死亡事故にも適用できるよう検討する考え。しかし、実現には時間がかかるうえ、全員が救済されない可能性がある。募金は、残された家族を幅広く支援しようと計画された。
同会代表の佐藤章・福島県立医科大教授(産婦人科)は「医師に過失がなかったとしても、亡くなった母親や家族は救われない。深い悲しみの中、乳児を抱えて大変な家族の生活を少しでも支えられれば」と話す。
募金の振り込み先はみずほ銀行白金出張所(普通1516150、「周産期医療の崩壊をくい止める会」)。同会ホームページ(http://plaza.umin.ac.jp/~perinate/cgi-bin/wiki/)でも呼び掛ける。【河内敏康】
毎日新聞 2008年9月23日 2時30分(最終更新 9月23日 2時30分)