スポーツ選手のインタビューなどで、後ろにスポンサー名の入ったボードが設置されているのをよく目にするようになった。このインタビューボードなるもの、政党などいろいろな機関に取り入れられていて、地元では岡山大でも会見時に使っていたりする。
十九日に辞意を表明した太田誠一前農相の記者会見にも、農林水産省と書かれたボードがあった。費用はそんなに掛からないのだろうが、何も役所がそこまでしなくてもと思ってしまう。いつもいいニュースを発表するだけとは限らないので、使い方も難しそうだ。
いまや行政も、厳しい財政下で担当者が知恵を絞っている。岡山県内の倉敷市立美術館、岡山市デジタルミュージアム、奈義町現代美術館で同時開催中の展覧会もその一つで、財政難を逆手にとったユニークな取り組みになっている。
もともと倉敷市立美術館が版画家高原洋一さん=岡山市=の個展を計画していたが、複数館で開けば財団法人・地域創造から助成金が得られることを知り、両館に呼び掛けた。結果として、一作家の個展の複数館同時開催は県内で初めてという話題性が付加され、会場ごとにテーマを変え、多角的に作家に迫ることもできた。
三館すべて回ると記念品がもらえる―など利用者側に立ったアイデアもあればとも思うが、予算が十分ではない美術館の新しい取り組みとしてはよかった。派手なボードを作るよりも、ちょっとした工夫で面白いことはできるものだ。
(文化家庭部・金居幹雄)