東京の銀座四丁目交差点は、繁華街の代名詞である銀座の中心にある。付近は路線価全国一の高さでも知られる。この交差点で、横断する歩行者を対象にした実験が、国際交通安全学会のプロジェクトとして行われた。
まず、青信号とともに流す音楽が作曲された。歩行速度を上げるために徐々にテンポを上げ、最後は横断を始めないよう警告的な音を発する曲だ。
歩行者の動きを観察したところ、音楽を流した場合は、流さなかった場合と比べて平均歩行速度が上昇した。赤信号までに渡りきれない割合が減るといった効果も明らかになった。
これに先立ち、赤信号までの残り時間を表示して適切な横断を促す実験も行われた。だが、表示してもしなくても差がなかった。歩行者の合理的判断に期待した残り時間表示よりも、音楽によって人々の行動が左右された結果が興味深い。
自民党の総裁選は、きょう投票される。にぎやかな総裁選で盛り上げて新たにできる政権を浮揚し、次期総選挙に突入する思惑があるようだが、選挙戦は国民にどう映ったか。
他党の動向も含め、総選挙へ向けた有権者の目が問われる時期を迎えた。音楽に乗せられる歩行者のように、とかく周辺状況に流されやすいのが人間だと自覚し、冷静な判断力を持っていたい。