【自民総裁選】勝ち馬に乗れ 「森幹事長」案も一時浮上
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22日午後、党本部8階ホールで開かれた両院議員総会。新総裁に選出され、登壇した麻生太郎は感激で顔を紅潮させながら、いきなり扇動調の演説を始めた。
「私に与えられた天命とは次なる総選挙で断固民主党と戦うことだ。国民が抱える数々の不安に応え、国家国民を守る安全保障問題を堂々と掲げ、実行に移す力はわが党以外にない。われわれはその使命を全うし、総選挙に勝ち、立派にこの国を再生し、改革を成し遂げ、さらなる一歩を進めていかねばならない」
麻生は「天命」「使命」という言葉も何度も繰り返し、会場の衆院議員らを鼓舞した。総裁選での遺恨については「5人の対立はこの瞬間をもって終わっている」と明言。もはや麻生の頭の中は次期衆院選に完全に切り替わっていた。
4度目の挑戦とはいえ、20人の小派閥領袖に過ぎない麻生が、総得票数の7割近くを得る地滑り的な勝利を収めたのは、間近に迫る衆院選を見据え、争点が「自民党の『選挙の顔』を誰にするか」のただ一点に絞られたからだった。麻生陣営は「総選挙への自民党議員の恐怖心が(勝ち馬に乗る)バンドワゴン効果を生んだ」と分析する。
首相の福田康夫が「ほうり出し」と批判されることを覚悟の上で退陣を決めたのも麻生に「総選挙での勝利」を託したからだった。福田は1日夕、麻生を首相官邸に呼び辞意を告げた上でこう念を押した。
「とにかくあなたの人気で大いに総裁選を盛り上げ、民主党を打ち負かしてほしい」
麻生が党執行部の布陣にほとんど手を加えなかったのも次期衆院選を考えての判断だった。
まず麻生が決めたのは選対委員長、古賀誠と選対副委員長、菅義偉の留任だった。選挙対策の「要」の2人を代えれば衆院選で大混乱になると考えたからだ。国対委員長の大島理森はもっとも信頼を置く腹心のひとりであり、政調会長の保利耕輔は自らが福田に推した人物だ。党役員を一新する理由は見あたらなかった。
自らの後任の幹事長ポストに麻生は悩んだ。「1議席や2議席を奪うか奪われるかで明暗を分ける選挙だ。党務経験が豊富で津々浦々まで選挙区情勢を把握している人物しか無理だ」。そう考えた麻生が白羽の矢を立てたのは元首相、森喜朗だった。
麻生はある人物を通じて森を口説いたが、森は「私は表に出るべきでない」とかたくなに拒否。そこで浮上したのが、「選挙博士」の異名を持つ幹事長代理の細田博之だった。「軽量級」との批判を交わすため、党のスポークスマン役として元政調会長の石原伸晃を、実務の補佐役として国家公安委員長の林幹雄を幹事長代理に登用した。
親しい党幹部に「どうしてもっと麻生カラーを出さないのか」と問われ、麻生はこう答えた。
「組閣では自分のカラーを出す。党執行部は選挙に勝った後でカラーを出せばいいじゃないか」
つまり麻生は総選挙の前後で2段構えの人事を模索していることになる。
22日夕、党本部4階の総裁室で、黒い革張りの総裁用の椅子(いす)に腰掛けた麻生は、壁に飾られた歴代総裁の顔写真を眺めながら感慨深そうにこう語った。
「この椅子に写真に飾ってある方々が座ったんだろうな…。いずれも大変な時代ですよね。われわれの前にも重たいものが待っているが、暗く下を向いてもしようがないんで顔を上げて頑張らなきゃな。座っていてもあまり仕事にはならないからね…」
(敬称略)
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