「偽善エコロジー」について 1-6 「CO2削減の是非」
武田邦彦は、「温暖化はCO2削減努力では防げない」と主張する。
そうです。
珍しく私も同意見です。
特に「京都議定書」で定められている6%や8%の削減だけで、温暖化に対して何の効果が有るってものでもありません。まさに「焼け石に水」です。
以前の私のブログ記事「これでいいのか!温暖化対策」でも同じような内容を書いた事があります。
しかし、この項目で彼がちょっと言ってる、「温暖化したら日本で農作物が育ちやすくなる・・・朗報だ。」とかいう非科学的な論調は私は共感できません。
この人は、こういうテキトウなことを言ってしまうから嫌いです。
彼は、「削減は焼け石に水なんだからやっても無駄。やらないほうが良い。」という内容でこの項目を語っている。しかし私はそうは思いません。確かに今の世界的なCO2政策では焼け石に水であり、続けても無駄なレベルです。しかしこれは温暖化対策としての単なる「試金石」なんてす。「一里塚」と言ってもいい。「第一歩」です。
彼はまたこの項目でこんな事を言う。
「そのうちには、石油や石炭がなくなっていきますから、温暖化はおさまっていくでしょう。ですからそれまでじっと待っていればいいんです。台風が過ぎ去るのを待つように。」
地球温暖化だけを意識したとしてもこれは間違った見解だし、地球温暖化の問題以外を考慮した時、この考えはもう小学生以下の意見とも言えるレベルの論調だ。
もし、100年後に化石燃料を全て使い切り、CO2排出が完全にゼロに成ったとしたら。するとそれは台風が過ぎ去ったかのように、次の日には穏やかな日々が訪れるのでしょうか。そんな事はありません。CO2濃度というのは、CO2排出が止まった後もずっと、そのままの状態が続いていくんです。産業革命以前の大気中のCO2濃度は280ppmでした。そして現在は380ppmです。今、急にCO2の排出を完全に止めたとして、濃度が明日から280ppmに戻る訳ではないんです。昨今問題と成っている異常気象が今後も続いていくんです。地球の大気の熱量の増加は、大気の状態を不安定にし、気流の動きを二極化し、乾燥と豪雨の差を開かせる上体と成ります。100年後には確実に今の気候からは想像も付かないような、悪い方向への変化が訪れているでしょう。そしてそれは101年後であっても、CO2排出が止まった後になっても、数百年は少なくとも続いていくものなんです。
温暖化というのは「じっとしてればおさまる」と言うような問題じゃないんです。
そして、温暖化問題以外を考慮した話ですが、それはエネルギー問題です。
「石油が有るうちにCO2削減を試みる」ということは、「エネルギーが有るうちに石油に頼らない社会を構築する」ということと同じ意義のものです。CO2排出を抑えるということは、必然的に自然エネルギーの技術を磨く事にベクトルが置かれる訳で、これはとても有意義な事です。
彼は「京都議定書に熱心なのは日本くらいだ」と言っています。(・・・そんな事は無いんですけど何を持ってそれを言っているのでしょう。)・・・もしそうだとしてもそれで良いじゃないですか。それだけ日本の技術が磨かれるってものです。今がちょっと厳しいだけ。今が厳しい事に耐えられない人はアメリカで冷房の掛かった部屋でコーラでも飲んでれば良いんです。
最後に彼は、「真面目はいいけれど、真面目すぎると疲れちゃうよ・・」と言っています。 この人、団塊の世代の割には忍耐力無いですね。
やりたくない人は勝手にダラダラやってればいい。
しかし、正しいベクトルに努力してる人を「無駄だぞ、間違ってるぞ」と否定することは大きな間違いである。
・・・だって、「無駄」じゃ無いんだから。
「温暖化対策としてのCO2削減」は、100年後といわず、20年後くらいには感謝されるであろう、技術革新を促す政策とその努力なのだから。
まるで武田邦彦は、アリを笑うキリギリスのようだ。
いいよ、お前の子孫は俺たちが守ってやるよ。・・・だから邪魔するな。
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コメント
> CO2濃度というのは、CO2排出が止まった後もずっと、そのままの状態が続いていくんです。
> CO2排出が止まった後になっても、数百年は少なくとも続いていくものなんです。
根拠は?
投稿: Mon | 2008年9月23日 (火) 00:30