米粉加工販売会社、三笠フーズ(大阪市北区)などによる農薬などに汚染された事故米の不正転売問題をめぐり、内閣府、農林水産省、厚生労働省の3府省は22日、再発防止策の具体策を発表した。残留農薬などの基準値を超えた事故米は輸入や国産を問わず、全面的に流通させないほか、「性善説に立ちすぎた」との反省をもとに、検査は厳格なマニュアルに基づき、“Gメン”が抜き打ちで行う。
具体的対策として、輸入検疫時や輸入後に残留農薬などの食品衛生法上の問題が判明した場合、輸入業者に輸出国への返送や焼却などの廃棄処分を行わせるとし、国と輸入業者間で契約条項を明確化する。
また、輸入米や備蓄の国産米で、保管時にカビなどが発生した場合には、国が廃棄処分する。
米の流通・取引の検査は農水省の米販売の担当ではなく、食品表示Gメンなどの検査担当が行い、役割を完全に分担する。厳格な検査マニュアルを作成し、検査は抜き打ちとする。
検査担当の能力向上のため、他省と人事交流を行うことも決めた。検査体制の改革を発表した内閣府の増原義剛副大臣は「これまで性善説に立ち過ぎた」と述べた。
今後、米について食品衛生上の事故が発生した場合に備え、流通ルートを特定できる追跡システム「米トレーサビリティーシステム」導入や原料米原産地表示システムの確立に着手したことも明らかにした。
今回、国内に流通してしまったもの以外の事故米も処分する。事業者に売却していない政府の事故米は、単なる水ぬれや袋破れなどを除いて販売停止し、廃棄処分とする。事業者が回収・保管している事故米は、処理計画を自治体の衛生部局に提出するように求め、こちらも処分を徹底する。
知らずに事故米を扱ったため、経営的に苦境に立つ中小企業などには政府系金融機関、信用保証協会、商工会議所、農林漁業金融公庫、農林中央金庫などが、資金繰り相談窓口を設置した。加えて、政府として別途の財政支援も検討しており、「早急に数字などを詰める」(増原副大臣)とした。
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