メラミン疑惑 汚染米と二重被害も 広がる不安と怒り
有害物質「メラミン」が含まれている恐れのある菓子は、病気の子どもたちやお年寄りも口にしていた。21日、給食会社大手「日清医療食品」(東京都千代田区)の発表で判明した提供先は、病院や老人ホームなど約3000施設に及ぶ。中には、米穀加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市北区)からの事故米が給食に使われていたことが分かったばかりの施設もあり、度重なる食品汚染疑惑に施設の職員からは「何を信じればいいのか」と、不安と怒りの声が上がった。
「米に続いて今度は菓子まで……」
大阪府の特別養護老人ホームの職員は21日、日清医療食品の担当者の訪問を受け、丸大食品(大阪府高槻市)の菓子「クリームパンダ」にメラミン混入の疑いがあると知らされた。この施設では今月中旬にも、給食に事故米が使われていたことを知らされたばかり。職員は冷凍庫に残っていた約50個を返品したが、約300個はもう食べてしまっている。「いい加減にしてほしい」と怒りは収まらない。
パンダの顔をモチーフにしたクリームパンダは、8月の北京五輪にあわせ、患者や入所者に五輪の雰囲気を楽しんでもらおうと配られたものだった。五輪開幕日にお年寄り20人に食べてもらった佐賀県の総合病院では、「体調が悪くなった人はいないですが……」と困惑する。京都府の特別養護老人ホームでも計50個を出したが、混乱を避けるため、まだ知らせていない。職員の一人は「お年寄りらには申し訳ない気持ちでいっぱい」と肩を落とした。
長崎市の総合病院では、入院中の2〜11歳の子ども計9人におやつとして出した。うち6人とは21日夕までに連絡が取れ、健康に問題がないことを確認したが、院長(63)は「食材の選択には慎重を期しているが、流通段階でこんなことが起きると防ぎようがない」と憤慨した様子だった。
(2008年9月22日 読売新聞)