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【社説】実はテロの標的になりやすい韓国

 国家情報院は、国会に資料を提出し「ここ5年間にわたり、韓国国内でのテロ工作などを理由に摘発された海外テロ勢力は合わせて74人で、19件に上る」と明らかにした。多くの韓国人は、韓国が国際テロとは一切関係のない国であるかのように思っているが、この資料は「実はそうではない」という事実を物語っている。

 今年に入り、アフガニスタンのタリバン勢力と手を組んで、韓国で麻薬の密輸入を企てた中東出身の6人が逮捕された。タリバンは麻薬の売買を通じてテロ活動や軍事活動のための資金を調達している。昨年は西南アジア出身の3人が在韓米軍の情報を収集していたところを逮捕されたほか、2006年には東南アジアの産業研修生がインターネットを通じてテロを呼び掛け、捕まっている。これらの人物はいずれも強制出国させられた。また、インドネシアを拠点とするアルカーイダの東南アジア組織「ジェマア・イスラミヤ」とつながりのある容疑者8人は、駐韓外国公館に対するテロを企て、04年に追放された。

 韓国は、国際テロ組織の標的となる可能性が非常に高い国だ。韓国と米国の同盟関係は国際的にも広く知られており、韓国軍は国連や米国の要請によって紛争地域に派遣され、活動している。現在韓国には多くの米国人が住んでおり、重要な米軍施設も数多く存在する。

 国際テロ組織は、観光客や産業研修生などを装って韓国を自由に行き来することができる。韓国国内での活動は一切制約されていない。そのため韓国はこれらの勢力にとって、麻薬密売だけでなく、世界中のテロ資金をロンダリングするのに格好の舞台となる可能性がある。今後韓国の経済規模が拡大し、国際社会に占める役割が拡大すればするほど、韓国はさらに重要な標的となる可能性が高い。

 しかし、2001年から話し合いを続けているテロ防止法の制定は、いまだに結論を見い出すことができずにいる。国家情報院に対テロ・センターを設けるかどうかをめぐり、国情院と軍・警察の間では、いまだに意見の食い違いが見られる。2011年に大邱世界陸上大会、12年には麗水世界博覧会という大きなイベントが控えている。テロを阻止するための対策をこれ以上、先送りしてはならない。

 これまで政府は国際テロ勢力の韓国国内での活動について、細かく説明したことがなく、国民としては今回のニュースがやや意外といった感をぬぐい切れない。テロに立ち向かっていくためには、国民の警戒心が何よりも重要だ。政府は国民に公開すべき情報はすべて公開し、対策を講じてこそ、国民の協力を得られるというものだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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