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【主張】メラミン問題 中国に毅然たる態度貫け
有害物質「メラミン」が検出された中国製牛乳を原料にしていたとして、丸大食品(大阪府)が菓子などの自主回収を始めた。メラミンが含まれていても健康を害するような量ではないというが、これまでの中国食品の問題を考えれば、日本政府は毅然(きぜん)とした態度で臨むべきだ。
特定の食品について中国食品の輸入を禁止する方法もある。すでにシンガポールやマレーシアは中国の酪農製品や乳製品の輸入禁止を発表している。
メラミンは窒素を多く含む有機化合物で、接着剤、塗料、食器に使われる樹脂の原料となる。中国では水を加えて量を増やした牛乳に混ぜてタンパク質の含有量を多く見せかけ、価格をつり上げる行為が横行している。
しかし、このメラミンを大量に摂取すると、腎臓障害を引き起こす。中国ではメラミン入りの粉ミルクで6000人以上の乳児が被害を受け、死者も出している。米国で昨年、中国製ペットフードを食べた犬や猫が相次いで死んだ事件もメラミンが原因だった。
厚生労働省は全国の検疫所に中国製加工食品の検査強化を指示し、食品団体に自主検査するよう指導を始めた。当然である。
ペットフード事件以来、米国では中国産の原材料を使用していないという意味の「チャイナフリー」商品が人気だ。パナマでは昨年、中国から輸入した薬用甘味料から作ったせき止め薬を飲んで100人が死亡した。甘味料が安価な工業用の毒性物質だった。
日本では中国産のウナギの蒲(かば)焼きから発がん性が指摘される抗菌剤も検出された。数年前にはやはり、中国産のホウレンソウから基準値を大幅に超える残留農薬が検出された。殺虫剤のメタミドホスが混入していた冷凍ギョーザ事件では、食中毒が起きている。汚染米問題でもメタミドホスが中国産の米に混じっていた。
こうした問題でも日本政府は中国政府に及び腰で、厳しく責任を追及してこなかった。これが一連の中国汚染食品問題の背景ではないか。
有害物質入りの中国製食品による甚大な健康被害は世界中に及んでいる。己の利益を第一に考える拝金主義が蔓延(まんえん)している中国には「食の安全」という概念が薄い。世界各国が厳しく対処し、中国に食の安全の重要性や大切さを示す必要がある。