法務、厚生労働両省が平成21年度から、刑務所を出ても自立して生活できない高齢者や障害者を更生保護施設で一時預かり、老人ホームなどの福祉施設への入所を支援する方針を決めたことが20日、分かった。更生保護施設は出所者が就労し社会復帰するのを支援してきたが、就労困難者の「司法」から「福祉」への“橋渡し”という新たな役割を担う。
法務省によると、刑期を終えても身元引受人がいない出所者は、18年は約7200人。うち約900人(入院治療が必要な人を除く)が高齢や障害のため福祉サービスが必要だが、前科があることから福祉施設が受け入れたがらず、再び窃盗などをして刑務所に戻るケースが多いという。
全国101カ所の更生保護施設のうち、57施設がこうした出所者を4人ずつ受け入れる。入所期間は約3カ月で、各施設には社会福祉士を配置し、集団生活に必要な訓練を実施する。
また厚労省は各都道府県に「地域生活定着支援センター」(仮称)を設置。法務省の保護観察所と連絡を取りながら、出所後すぐ障害者手帳の発給や年金受給が可能となるよう刑務所収容中から準備を進める。出所後は更生保護施設の社会福祉士とともに、福祉施設が受け入れてくれるようコーディネートを進める方針。
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