土俵際で朝青龍が豊ノ島の寄りをこらえて、一気に逆襲した。そのとき、審判長の三保ケ関審判部副部長(元大関増位山)の右手が挙がった。朝青龍の右かかとが俵を割ったと判定された。勝ったと思った朝青龍は、土俵上で不満そうに審判長をにらみつけた。
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映像で確認すると、かすかに横綱のかかとが蛇の目の砂に触れている。間近で見ていた三保ケ関審判長は「蛇の目の砂がへこんでいた。負けは負け。おれをにらんでも仕方がない。目の前で見たんだから、ビデオ確認なんてばかなこと言わないでよ」と声を荒らげた。
取組を裁いた立行司、木村庄之助によると、朝青龍は土俵で「残ってるよ」と怒鳴ったという。支度部屋でも怒りは収まらない。左ひじに巻かれたテープを投げ捨てると「ダーッ」と叫んで風呂場へ。まげを結い直す間に「残ってると思ったんだよ。この野郎」と悪態をつき、「出てたの、出てないの。どっちなの」と報道陣に逆取材。国技館を去る際には「ビデオを見てねぇから分かんねぇけど、納得いかねぇ。今の気持ちは真っ白。たまったもんじゃねぇよ」とまくし立てた。
3敗目を喫し、先場所に続く途中休場の危機も浮上するが、高砂部屋に戻った後、9日目以降の出場について問われると「頑張るよ」。横綱昇進後、8日目までに3敗(不戦敗を除く)を喫するのは2度目。進退問題含みの休場に、いつ追い込まれてもおかしくはない。(奥山次郎)
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