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2008.09.22 00:30 |  診療  |  研究  |  その他(医療関連)  |  ADHD関連  |  AS(アスペルガー)関連  |  YANBARU  | 推薦数 : 1

コンサータという薬

 もともと私はリタリンという薬自体が非常に使いにくいと考えていたため、リタリン時代は注意欠陥の症状に3例くらいしか処方はしていなかった。

 それが、コンサータを処方するようになってからは、非常に劇的な効果を目の当たりにして、最近は子供のケースでは注意欠陥があれば、とりあえず試してみましょうと勧める感じだ。

 私は実は注意欠陥(とその結果としての多動)を伴うASにも、重複診断としてコンサータを処方している。注意欠陥には実際有効で、ただでさえ過敏なASの感性を撹乱するランダムな刺激をある程度交通整理できるので、「ASとしても落ち着く」ということになる。

 問題は成人例への適応だ。わざわざ私は東京まで日帰り出張で研修を受けに行ったのだが、その場で質問したが結局成人に処方してよいのかどうかについてははっきりした答えは得られなかった。

 そういうわけで最近私は成人ADHD例には「限定3回処方」ということを試みている。

 臨時の使用として、限定3回(2週間当たり)の処方で、「脳の働きの違いを確認してもらう」ことが目的だ。

 例えば、KYが重症で、「無視されても感じない」ところまで行っているケースは、空気は読めるようにならなくても、周囲の人の態度に何か意味があるというところまで落ち着いて観察できれば、自分の障害について理解が深まるだろう。

 これまで成人ケースから私が得た証言は、「大事な情報と大事でない情報が最初から分かれて入ってくる」、「集まりのなかでつまらない話を聞いても無駄口の失言をしないですんだ」、「大時化の海が凪になった」など、主に「不必要な刺激に過剰に反応しなくなった」という効果を確認した。

 つまり、限定的な使用で、本人も、周囲の人も、注意欠陥の本質について薬と服用しているときと服用していないときの違いを見て「はっきり分かる」という効果があるのだ。

 ただ私は現段階では恒常的な使用については、「何処でやめるか」という依存性の問題と、躁状態や「依存症的な気持ちよさ」との違いの鑑別などの大きな問題について社会的なコンセンサスが必要であろうと思う。

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