行き着けなくても一日一歩の気構えで。たそがれおやじの覚醒。
日暮れて途遠し



ワシントンのWashington convention centerで6/2(月)〜6/4(水)の3日間、AIPAC Policy Conference 2008が開催された。AIPACはAmerican Israel Public Affairs Committee(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)で親イスラエルロビー団体だ。全米ライフル教会をも上回るアメリカでもっとも影響力のある団体とする報道もある(wikipedia)
毎年全米から5000人規模のユダヤ系コミュニティや学生活動家が集まり、上院議員の半数、下院議員の1/3、イスラエル・アメリカの政策当事者やリーダーを招いて行われる大会で、今年は国では米からの献金問題で窮地に立たされているオルメルト首相のほか、マケイン氏(月)、ライス国務長官(火)、大統領候補確定直後のオバマ、クリントン両氏(水)、ペロシ下院議長etc.上下院リーダーらが招かれてスピーチを行っている。


AIPACのホームページから
Senator John McCain
AIPAC Policy Conference 2008
"Tehran's continued pursuit of nuclear weapons poses an unacceptable risk, a danger we cannot allow."

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まずは皮切りとなったマケイン氏の演説をNYタイムズの記事から:

June 2, 2008, 9:46 am
In AIPAC Speech, McCain Hits Obama on Iran, Iraq
AIPACでの演説で、マケインがオバマをイラン・イラク問題でこき下ろす

By Michael Cooper

マケイン上院議員は親イスラエル・ロビー団体、アメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)での演説の場を利用してオバマ上院議員を2つの面からこき下ろした。
イランとの外交交渉呼びかけは見当違いで不十分(Mr. Obama’s calls for diplomacy with Iran were misguided and insufficient)であり、イラクからの米軍撤退開始の提案は地域を混乱に導きイスラエルを危険に陥れるだろうと。(would lead to chaos in the region and endanger Israel.)

広い洞窟のようなWashington convention centerで、彼は核武装したイランの脅威を強調して、民主党のほぼ確定のライバル候補となったオバマ氏を批判した。

「イランは核計画(nuclear program)を何年にもわたりずっと遂行してきた。
我々が大統領レベルの対話を拒んできたから彼らが今核兵器を追い求めるようになったという考えは歴史への重大な読み違えだ」とマケイン氏はクリントン政権時代の失敗を引き合いに出して語った。

「であるのに、イランの指導者との対話などという話が、あたかも突然のインスピレーションのように、今まで誰も思いつかなかった大胆で新しいアイデアであるかのように語られるようだ」彼の選対が用意した事前テキストでは彼はこう語る。--(このあたり記者は会場で語られたことを用意されたテキストを元に再現している?)

「しかし、今のところ、そのようなアフマディネジャド大統領とのサミットで得られるものはというと、うんざりするほど饒舌な反ユダヤ主義のがなりたてや、世界の聴衆の前でのホロコーストの否定、そして熱狂した大衆の前でもういちどホロコーストをしようなどということぐらいのものではないのか。
そのような見世物は、過激・強硬派の立場を強化し、彼らが突然の見かけ上の尊敬を集めてしまうことで、イランの穏健派や反体制派(Iranian moderates and dissidents)を害するだろう。」

マケイン氏はおなじみのオバマ氏――米国に反対の国々とも対話を行うと主張した(who has made a point of saying that he would use diplomacy even with countries that disagree with the United States)――攻撃の筋書きにもどる。(familiar line of attack on Mr. Obama)
去年夏のディベートで、彼はイラン、シリア、ベネズエラ、キューバ、北朝鮮の指導者と無条件(without preconditions)に会うことをいとわないと言ったと。

オバマ陣営(The Obama campaign)はすばやく反応した。
「マケインは危険で失敗した外交政策、アメリカとイスラエルの安全を損なった政策を頑固に続けようと主張している」と陣営のスポークスマンHari Sevuganは述べた。

「マケインが支持してきてこれからも続けようという政策の結果はこのとおりだ。
ブッシュ政権の間に、イランはゼロから3000基に遠心分離機を増やして劇的に核計画を拡張させた。
ブッシュ政権の間に、イランは死活的に重要な地域への影響力を高めた、ハマスとヒズボラに資金と武器と使って。
ブッシュ政権の間に、ハマスはガザを占領した。
最も重要なのは、マケインが支持し、永遠に続けると約束したイラク戦争だ。それはこの30年ほどの間で何にも増してイランを劇的に強化し励ました」

オバマ氏とその陣営は、民主党は事前条件に合致しないいくつかの国々とは対話を拒否するというブッシュ政権の外交政策からは離れるが、それは必ずしも大統領レベルの対話を約束するものではないと強調した。(not necessarily engage in presidential-level talks with them)

マケイン氏――イランへの強硬派姿勢hard-line stanceをとってきて、選挙戦の初期にビーチボーイズの歌“Barbara Ann’’を“Bomb Iran”と呼び替えたジョークを言ったことがある――は、今回の演説では現実的な圧力“real-world pressures’’をイランに加えることに言及した。

彼は国連により厳しい政治的・経済的な制裁を呼びかけた。そして、もしそれができなければアメリカは同じ志を持つ国々(like-minded countries)をリードして、ビザの否認、資産の凍結を含むイランの支配層に重い代償を支払わせる(impose a heavy cost on the regime’s leaders)ような独自の制裁を科すべきだと言う。
そして、南アフリカにアパルトヘイドを終わらせた運動を模した世界的なキャンペーンの先頭に立つと言った。

そして、マケイン氏はイランが高い割合で海外に頼っている石油精製製品(refined petroleum products)の輸入能力へ制限を加えるような制裁を適用することを繰り返し表明した。

彼はまた、オバマ氏が、イラン革命防衛隊Iran’s Revolutionary Guardをイラク駐留アメリカ軍の殺害に責任のあるテロリストと規定する修正法案に反対したことを批判した。
「上院の3/4はこの明確なステップを支持したが、オバマ議員は違った」

And he argued that Mr. Obama’s calls for withdrawing troops from Iraq could endanger Israel. “You would never know from listening to those who are still caught up in angry arguments over yesterday’s options, but our troops in Iraq have made hard-won progress under General Petraeus’ new strategy,’’ he said. “And Iraqi political leaders have moved ahead slowly and insufficiently, but forward nonetheless. Sectarian violence declined dramatically, Sunnis in Anbar province and throughout Iraq are cooperating in the fight against al Qaeda, and Shia extremist militias no longer control Basra the Maliki government and its forces are in charge. Al Qaeda terrorists are on the run, and our troops are going to make sure they never come back.’’

そして、イラクからの撤兵を求めるオバマ氏の要求はイスラエルを危険に陥れるかもしれないと論ずる。
「過去の過ぎてしまった選択肢optionsを巡っての怒りの議論にまだ囚われている人たちの言うことを聞いていたら知りえないことだろうが、我がイラクの米軍はペトレアス将軍の新戦略の下でやっと進展を手に入れたところなのだ。
そして、イラクの政治的リーダーはゆっくりとだが前に動いている。不十分であってもとにかく前にだ。
宗派間の暴力は劇的に減り、アンバール県と全イラクのスンニ派はアルカイダとの闘いに協力している。シーア派の過激派民兵はもはやバスラをコントロールしていない、マリキ政府と治安機関が事に当たっている。
アルカイダのテロリストは敗走中で我が軍は彼らが二度と帰ってこないような手段を講じつつある」

“It’s worth recalling that America’s progress in Iraq is the direct result of the new strategy that Senator Obama opposed,’’ he said. “It was the strategy he predicted would fail, when he voted cut off funds for our forces in Iraq. He now says he intends to withdraw combat troops from Iraq one to two brigades per month until they are all removed. He will do so regardless of the conditions in Iraq, regardless of the consequences for our national security, regardless of Israel’s security, and in disregard of the best advice of our commanders on the ground.’’

「イラクでのアメリカの進展はオバマ議員が反対した戦略の直接の結果であることを想起する必要がある。
その作戦は彼が、失敗を予言して、イラク駐留米軍の予算カットに賛成票を投じたときのものだ。
彼は今1ヶ月当たり1,2旅団ずつ、全員がいなくなるまで撤兵するつもりでいる。
彼は、イラクの条件にかかわりなく、わが国の安全保障への影響にかかわりなく、イスラエルの安全保障にかかわりなく、そして我々の司令官たちの最上のアドバイスも無視してこれを行うつもりだ」

“This course would surely result in a catastrophe,’’ he said. “If our troops are ordered to make a forced retreat, we risk all-out civil war, genocide, and a failed state in the heart of the Middle East. Al Qaeda terrorists would rejoice in the defeat of the United States. Allowing a potential terrorist sanctuary would profoundly affect the security of the United States, Israel, and our other friends, and would invite further intervention from Iraq’s neighbors, including an emboldened Iran. We must not let this happen.’’

「このコースは間違いなく悲劇的結末カタストロフィーになるだろう。
もし、我が軍が無理やり撤退を命令されれば、全面的な内戦、大量虐殺、中東中心部での国家破綻のリスクを招く。
アルカイダのテロリストはアメリカの敗北に歓喜するだろう。
潜在的なテロリストのサンクチュアリーを許すことは、アメリカ、イスラエル、そして他の友人たちの安全保障に深甚な影響を及ぼすことだろう。
そして元気付いたイランを含むイラクの隣国からの更なる介入を招くだろう。
我々は決してこれを実現させてはならない」
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イランの核保有、あらゆる手段を使って阻止すべき イスラエル首相
2008年06月04日 11:33 発信地:ワシントンDC/米国 AFP


●アメリカのイスラエル・ロビーについて:

米アカデミズムが警告した「イスラエル・ロビーの脅威」 2006/03/28

露見したイスラエル・ロビー 2007/09/16

国際情勢の分析と予測(何とイスラエル・ロビー全訳が読めます)





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