経営不振に陥っている米自動車最大手、ゼネラル・モーターズ(GM)が、国内トラック大手のいすゞ自動車に、商用トラック部門の売却を打診したことが19日分かった。いすゞは正式に申し入れがあれば検討に入る考えだ。ただ、譲渡価格の隔たりは大きいと見られ、実現の可能性は流動的だ。仮に交渉がまとまれば、日本メーカーが米自動車大手の事業を買収する初のケースになる。
関係者によると、GM側が9月中旬までに、トラック部門の大半を占める中型トラック部門を売却する意向をいすゞ側に伝えた。GMが近く譲渡額などを提示する模様だ。
GMは主に「GMC」というブランドで北米などで商用トラック事業を展開している。乗用車では世界トップだが、商用トラックの世界シェアは06年の中大型トラック分野で2・1%(15位)と振るわず、収益面でも「足を引っ張っている部門」(国内トラック大手役員)とされる。
いすゞの中大型トラックの世界シェアは2・7%(12位)。他社が手薄な小型トラックを主力としており、新興国などで販売を伸ばしている。
買収が実現すれば、中大型トラックのシェアも5%近く(8位前後)に高まり、トヨタ自動車と子会社の日野自動車の合算シェア(3%)を抜き国内首位となる。
いすゞは06年までGMから出資を受けたほか、現在も海外事業で連携するなど親密な関係を維持している。【宮島寛、森有正】
毎日新聞 2008年9月20日 東京朝刊