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「それがPSPの仕様だ」、久多良木SCE社長がゲーム機不具合騒動を一蹴

2005年1月25日

「これが、私が考えたデザインだ。使い勝手についていろいろ言う人もいるかもしれない。それは対応するゲームソフトを作る会社や購入者が、この仕様に合わせてもらうしかない」


こう話すのはソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の久多良木健社長だ。彼が言うのは昨年12月12日に発売し、爆発的な人気を博す同社初の携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」だ。あまりの話題性から品薄状態が続いている。


ソニーのゲーム事業と言えば2004年3月期までの3期、連結営業利益の6割超を稼ぐグループの柱。2003年「ソニーショック」と呼ばれたエレクトロニクス事業の業績悪化の危機もゲームが救った。そのゲーム機の約5年ぶりの戦略商品としてPSPは発売された。おのずと内外から注目も高まる。


金型による不具合は修理


ところが、品薄の次に話題になったのが、PSPに各種の不具合があるとの指摘だった。インターネット上では、内容の真偽は別としてPSPの不具合に関するサイトが数多くある。一部週刊誌も取り上げた。


PSPの不具合と指摘されている現象のうち本誌もその1つを体験した。独自入手したPSPで、液晶画面の右側にある4つの操作ボタンのうち画面に近い左側のボタンを押してもゲームの主人公が動かない時がある。取材した高校生は、これではゲームを楽しめないと不満を訴えた。スピード感が大切な格闘技ゲームなどでは素早い攻撃ができず負けてしまう。最初はボタンを押せても、やがてボタンがゲーム機に埋もれて元に戻らなくなることもある。


SCEもボタンが戻らない点については不具合と認めている。一部の金型に問題があり、ボタン穴が本来の位置からズレてしまった前面カバーが紛れ込んだ結果だ。これにはSCEは修理に応じている。ボタンに関するこれら不具合で、既に販売台数の0.6%相当を修理した。問題の金型を特定し対応済みというのがSCEの見解だ。


一方、ボタンを押しても画面が時に反応しない点に関してはSCEは不具合ではないと説明する。ボタンの位置は左右対称なのに、本体内部でボタンが押されたことを検知する部分の位置は非対称だ。結果、問題が指摘されるボタンだけは、他のボタンのように真下に検知部分がない。この点が画面が反応しないことがある原因ではないか。本誌の疑問に関して久多良木社長は次のように説明した。


「一番美しいものを作った」


「使用する液晶画面はこれ以上小さくしたくないし、PSP本体もこれ以上大きくしたくなかった。ボタン位置も狙ったもの。それが仕様。これは僕が作ったもので、そういう仕様にしている。明確な意思を持っているのであって、間違ったわけではない。世界で一番美しいものを作ったと思う。著名建築家が書いた図面に対して門の位置がおかしいと難癖をつける人はいない。それと同じこと」


久多良木社長は、これまでもソフトメーカーやユーザーの声に右顧左眄しない姿勢を貫いてきた。プレイステーションを世に出した時、手で握れるグリップ型コントローラーを初めて採用し、後にゲーム界の主流となった。そんな久多良木社長にとって世界初にチャレンジする技術者がソニーグループに少なくなったことが苛立ちの種だ。


PSPの仕様も、久多良木社長ならではの成功体験の結晶という面は否定できない。ボタンを押しても画面が動かないことがある問題は、あくまでも使い方の問題にすぎないというのが久多良木流。PSPは、今後のソニーグループの行方を大きく左右しかねない商品だ。それだけに一部とはいえ騒ぎとなっていることに電機業界の関心も高い。 (杉山 俊幸、大竹 剛)


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