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光ディスクの規格統一は「ゲームオーバー」と久多良木氏

2005/06/17 09:24

浅見 直樹(日経エレクトロニクス編集長)

日経エレクトロニクス2005年6月20日号
 1980年代,日経エレクトロニクスはメインフレームやスーパーコンピュータの技術を詳細に報道していました。そのアーキテクチャから半導体技術,実装技術,ソフトウエア構造に至るまで,多くのページを割いて内容を紹介してきました。大型コンピュータそのものを製造する企業は数社しかないにも関わらず,なぜその中身を事細かに報道したのか——理由は技術のダウンサイジングです。大型コンピュータの開発を通して最先端技術が培われ,その技術がいずれ産業機器や民生機器にも転用されたという経緯があります。技術の源流が大型コンピュータだったからこそ,多くの読者がその中身に興味を抱いていました。

 今,日経エレクトロニクスは携帯電話機やゲーム機の技術も追いかけています。理由は,こうした小型の民生機器にも最新技術がたくさん詰め込まれているからです。携帯電話機やゲーム機に採用された技術が,他の電子機器へと広がる可能性を秘めています。最新号では,次世代の家庭用ゲーム機を取り上げて,特集「Xbox 360とPS3は何を変えるのか」を企画しました。「CPUはなぜ3.2GHz動作なのか」「マルチコアでOSはどう動く」「Bluetoothを使う理由」「HDTVのアナログ出力は可能か」「光ディスクの規格統一はまだ間に合うか」「ゲーム機はホーム・サーバに化けるか」などのテーマについて,取材結果をお伝えします。ゲーム機から透けて見えるデジタル家電の明日の姿を占ったつもりです。

 さて今回,プレイステーション,PS2,そしてPS3と歴代のゲーム機開発の陣頭指揮に当たった生みの親,久多良木さんにお会いしました(関連記事)。Cellの発表後に,「内蔵するSPEの数を8個にしたのは,2のべき乗にこだわるという美学から」と語っていました。そのSPEを7個しか動作しないことに,「これは美学に反するんじゃないですか」と問いかけたところ,「これこそ究極の美学でしょ」と切り替えされました。1個のSPEをリダンダンシー(冗長分)とみなすことで,歩留まりが大幅に向上するというエンジニアリングのセンスを「究極の美学」と表現したわけです。インタビューの最後に,「光ディスクの規格統一はまだ間に合いますか」と訪ねたところ,一刀両断に「ゲームオーバーでしょ」と。PS3の開発は,来春の量産に向けて待ったなし,ということのようです。特集と併せて,PS3にかける久多良木氏の想いを本誌でお届けします。ぜひ,ご一読願います。

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    ■タイトルと文章は,もう少し一致させて欲しい。(2005/06/17)
    ■最初は,ソフトの次世代規格のためにスペアとして残すのかと思っていましたが,ゲーム機の場合,メディアや機器の取り扱いがラフになるため,冗長度は必要かもしれません。さしずめ,プロセッサーの「大久保彦左衛門」なんでしょうね。(2005/06/17)
    ■リダンダンシーなのでしょうか? 初めて報道を見たとき,1個はSCSIのように制御用なのかと思いましたが。(2005/06/17)
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